セクタムセンプラ(Sectumsempra)とは、対象を切り裂き、深い傷を負わせる闇の魔術の一つです。
この記事では、闇の魔術の一つであるセクタムセンプラについて、その意味、効果、危険性、そして物語における重要な役割まで、徹底的に解説していきます。
Contents
セクタムセンプラとは?
まずは、セクタムセンプラがどのような呪文なのか、基本的な情報から見ていきましょう。
呪文の効果と危険性
セクタムセンプラは、対象に向けて杖を振るうことで発動し、目に見えない剣で切りつけられたかのような深い裂傷を負わせる呪文です。その効果は非常に強力で、まともに受けると大量出血を引き起こし、命に関わるほどのダメージを与える可能性があります。
この呪文は「闇の魔術」に分類され、ホグワーツ魔法魔術学校では教えていない、禁じられた魔法の一つです。使用には細心の注意が必要であり、安易な使用は大きな悲劇を生むことになります。
呪文の語源・由来は?
「セクタムセンプラ」という言葉は、ラテン語に由来すると考えられています。
- セクタム (Sectum): ラテン語で「切る」「切り刻む」といった意味の動詞 "seco" の完了分詞男性形。つまり「切り裂かれたもの」を指します。
- センプラ (Sempra): ラテン語で「常に」「永久に」を意味する "semper" から来ていると推測されます。
この二つの言葉を組み合わせると、「常に切り裂く」あるいは「永久に切り裂かれた状態」といった意味合いになり、呪文の恐ろしい効果を的確に表しています。
セクタムセンプラの考案者|半純血のプリンス
これほど強力で危険な呪文は、一体誰が生み出したのでしょうか。その答えは、物語の重要な鍵を握る人物、セブルス・スネイプです。
スネイプは学生時代、「半純血のプリンス (Half-Blood Prince)」と名乗り、愛用していた「上級魔法薬」の教科書の余白に、自作の呪文や改良した魔法薬のレシピなどをびっしりと書き込んでいました。セクタムセンプラも、その中に記されていた呪文の一つだったのです。
スネイプがどのような意図でこの呪文を開発したのか、作中で明確には語られていません。しかし、彼が学生時代にいじめを受けていたことや、闇の魔術への強い興味を持っていたことなどが背景にあると考えられます。
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参考上級魔法薬
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治癒呪文|ヴァルネラ・サネントゥール
セクタムセンプラによって負った傷は、通常の治癒呪文では簡単に治すことができません。この特殊な闇の呪文による傷を癒すためには、同じく高度な魔法知識が必要とされます。
作中でスネイプがマルフォイに使用した治癒呪文が「ヴァルネラ・サネントゥール (Vulnera Sanentur)」です。「ヴァルネラ」はラテン語で「傷」、「サネントゥール」は「癒されるように」といった意味合いを持ちます。この呪文は、歌うような詠唱と共に杖を振るうことで、切り裂かれた傷を縫合し、失血を止める効果があります。
しかし、この治癒呪文も万能ではなく、失われた身体の一部(ジョージの耳など)を元通りに再生することはできませんでした。
登場シーン
セクタムセンプラは、物語の中でいくつかの重要な場面で登場し、読者や観客に強烈なインパクトを与えました。
ハリー・ポッターと謎のプリンス
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』において、ハリーは偶然手に入れた「半純血のプリンス」の教科書でセクタムセンプラを発見します。1997年5月、その効果を正確に知らないまま、ハリーはライバルであるドラコ・マルフォイとの決闘中にこの呪文を使用してしまいます。
結果、マルフォイは胸部や顔面に深い切り傷を負い、大量に出血して瀕死の状態に陥りました。この出来事はハリーに大きな衝撃と後悔を与え、闇の魔術の恐ろしさ、そして知識の危険性を痛感させることになります。
幸いにも、その場に駆けつけたスネイプが専門的な治癒呪文「ヴァルネラ・サネントゥール」を施したため、マルフォイは一命を取り留めました。
また、分霊箱を探すハリーとダンブルドア。湖に引きずり込もうとする亡者に対しハリーが使用するも、亡者は流すべき血を持っておらず、何も感じない様子で効果はありませんでした。
物語の最後には、ハリーはダンブルドアを殺害し逃亡するスネイプを追います。スネイプにセクタムセンプラを唱えようとするも防がれ、スネイプこそが呪文を考案した半純血のプリンスだと明かされます。

ハリー・ポッターと死の秘宝
1997年7月27日、「七人のポッター作戦」の最中に悲劇が起こります。死喰い人との激しい戦闘中、セブルス・スネイプが放ったセクタムセンプラが、意図せずジョージ・ウィーズリーに当たってしまいます。
この呪文により、ジョージは片耳を永久に失うことになりました。この場面は、スネイプの複雑な立場と、戦いの中での偶発的な悲劇を象徴しています。スネイプは死喰い人の呪文からルビウス・ハグリッドを守ろうとした際に、流れ弾としてジョージに当たってしまったとされています。
登場作品
- 『ハリー・ポッターと謎のプリンス』第21章「不可知の部屋」、第24章「セクタムセンプラ」、第26章「洞窟」、第28章「プリンスの逃亡」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第5章「倒れた戦士」、第33章「プリンスの物語」
まとめ
セクタムセンプラは、『ハリー・ポッター』シリーズにおいて、その強烈な効果と背景にある物語によって、読者に忘れがたい印象を残す闇の呪文です。
創造者スネイプの知られざる一面、ハリーの成長における重要なターニングポイント、そして闇の魔術の恐ろしさを象徴する存在として、物語の中で重要な役割を果たしています。
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