ハリー・ポッターと死の秘宝

映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1』の基本情報

原題 Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 1
公開年 2010年
監督 デヴィッド・イェーツ
上映時間 146分

あらすじ

ハリー・ポッターシリーズ最終巻。7巻におよぶ壮大な物語がここに完結。「一方が生きるかぎり、他方は生きられぬ」。逃れえぬ宿命に敢然と立ち向かうハリーの前に、真実が次々に明かされる。闇の帝王と、愛と信頼を失わぬハリーに「死の秘宝」はなにをもたらすか[1]

映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2』の基本情報

原題 Harry Potter and the Deathly Hallows: Part 2
公開年 2011年
監督 デヴィッド・イェーツ
上映時間 130分

3つの「死の秘宝」とは?

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「死の秘宝」とは?ニワトコの杖・蘇りの石・透明マントの伝説と所有者の歴史を徹底解説

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「死の秘宝」は、以下の3つから成り立っています。

死の秘宝

  • ニワトコの杖
  • 蘇りの石
  • 透明マント

魔法界に伝わる「三人兄弟の物語」という寓話に登場する、死によって授けられたとされる3つの強力な魔法のアイテムです。

これら全てを揃えた者は「死を制する者」になると信じられています。

では、1つずつ詳しく見ていきましょう。

「あなたの言うとおりだと思うわ」ハーマイオニーがロンに話しかけた。「単なる道徳話なのよ。どの贈り物がいちばんよいかは明白だわ。どれを選ぶべきかと言えば――」三人が同時に声を出した。ハーマイオニーは「マント」、ロンは「杖」、そしてハリーは「石」と言った。

ー「ハリー・ポッターと死の秘宝」

ニワトコの杖|最強の魔法の杖

ニワトコの杖は、「世界最強」とも称される伝説の魔法の杖です。

素材は希少なニワトコの木で作られており、その芯には“死を見た者にしか見えない魔法生物”セストラルの尾の毛が使われていると言われています。

しかし、この杖には大きな落とし穴があります。真の力を引き出せるのは、前の所有者を力で打ち負かした者だけ。つまり、所有者は次々と命を狙われ、奪い合いの連鎖が絶えないのです。この特性こそが、持ち主に破滅をもたらす“呪われた力”の本質だと言えます。物語ではヴォルデモートがこの杖を探し求め、魔法界にかつてない脅威をもたらしますが、杖が真に従うのは意外な人物でした。

蘇りの石|死者を呼び戻す「誘惑の石」

蘇りの石は、死者をこの世に呼び戻すことができると伝えられる魔法の石です。

ただし、この“再会”は完全な蘇生ではなく、あくまでも魂の幻影として現れるに過ぎません。彼らは語りかけてくるものの、生者の世界には完全には戻れず、その姿はどこか寂しげで、悲しみに満ちています。

この石は、死者への執着と喪失の痛みに取り憑かれた者が抱きやすい「死を取り戻したい」という欲望を象徴しています。

物語では、ある人物が深い後悔の末にこの石を手にしますが、その行動が引き起こす結果は、“死者を無理に呼び戻すことの虚しさ”を静かに語りかけてきます。そして、ハリー自身もこの石と向き合うことになり、死をどう受け入れるかという大きな選択を迫られるのです。

透明マント|死を受け入れる“賢明な選択”の象徴

透明マントは、着ることで姿を完全に消せる魔法のマントです。

透明化を実現するアイテムは魔法界にいくつか存在していますが、通常は時間が経つと劣化し、透明化の効果が薄れてしまいます。

しかし、死の秘宝に数えられるこのマントは時を超えて魔法を保ち続ける唯一の存在です。

この透明マントは、代々ポッター家に受け継がれ、ハリーが父ジェームズから受け継いだものでした。

このマントが象徴するのは「死から逃れること」ではなく、「死と共に生き、最期の時にはそれを自然に受け入れる」という姿勢です。

三人兄弟の物語の中でも、このマントを選んだ末弟だけが“賢明な選択”をしたと語られています。シリーズを通して何度もハリーたちを守ってきたこのマントこそが、実は“もっとも正しい死の秘宝”であったと気づいたとき、その意味の深さに驚かされるでしょう。

死の秘宝のシンボルマークの意味と由来

『ハリー・ポッターと死の秘宝』の物語において、印象的に描かれるのが三角・円・縦線からなる「死の秘宝のマーク」です。

このシンボルは、ダンブルドアの旧友であり敵ともなったグリンデルバルドが頻繁に使用していたことで、魔法界の中でも一部では危険視される印でもあります。

このマークの構成は、それぞれの秘宝を象徴する要素から成っています

  • 三角形:透明マント

  • :蘇りの石

  • 縦線:ニワトコの杖

つまり、このシンボルは「3つの死の秘宝が一つに揃った状態」を表すものであり、「死を制する者の完全な象徴」として描かれています。

このシンボルが初めて物語に登場するのは、ゼノフィリウス・ラブグッドの家を訪れたシーン。彼はこのマークをペンダントとして身につけており、ハーマイオニーがそれを“グリンデルバルドの印”として警戒します。実際には、彼の関心は秘宝そのものにあり、娘ルーナの救出のためにハリーたちを裏切る行動にも繋がっていきます。

また、グリンデルバルドがこの印を自らの理想(死の克服)を体現するシンボルとして使っていたことで、ダンブルドアとの過去の思想的対立も浮き彫りになります。若き日の二人は「秘宝をすべて集めて、より良い世界を築こう」と夢を語り合っていましたが、その手段と目的が大きく分かれてしまったのです。

グリンデルバルドがヴォルデモートに嘘をついた理由

ヴォルデモートはヌルメンガードに幽閉中のグリンデルバルドを訪れ、ニワトコの杖の在処を問いただします。

「それはここにはない。ダンブルドアはそれを持っていかなかった。」
「お前にはそれを持つ資格はない。」

ー『ハリー・ポッターと死の秘宝』第23章「マルフォイの館」

グリンデルバルドのこの言葉は、明らかにであることが後に判明します。ダンブルドアは実際にはニワトコの杖を所有しており、死後は墓の中に埋葬されていました。

J.K.ローリングは2007年10月にニューヨークで行われた読者イベントにおいて、次のように答えており、グリンデルバルドが晩年に贖罪の念を抱いていたことを示唆しています。

グリンデルバルドはヴォルデモートに嘘をつきました。彼は、ニワトコの杖を持っていなかったふりをしたのです。

彼はヌルメンガードの独房で過去の行いを悔い、ダンブルドアへの深い感情を持ち続けていたとされています。

そのため、ヴォルデモートに対して嘘をつくことで、ダンブルドアとニワトコの杖を守ろうとしたのです。

原作と映画のちがい

ニワトコの杖の最期

原作

原作では、ヴォルデモートとの最終決戦後、ハリーはニワトコの杖の真の所有者が自分であることを理解します。

しかし、彼はその力を保持することを望まず、ダンブルドアの墓に杖を戻すことを選びます。ハリーの考えは、「自分が自然に死を迎えたときに杖の所有権も途絶え、その力も永遠に終わる」というものでした。つまり、杖そのものを破壊するのではなく、使用せずに眠らせ、力の継承を断つという平和的な選択をします。

この決断は、ニワトコの杖を求めて争ってきた多くの魔法使いたちとは対照的に、ハリーが“死を受け入れる者”として成長したことを象徴しています。また、「死の秘宝」の物語を完結させるうえで重要な意味を持っています。

映画

一方、映画『死の秘宝 Part2』では、ヴォルデモートとの最終決戦後、ハリーはニワトコの杖を真っ二つに折って破壊し、谷へと投げ捨てます。

この演出は、杖の魔力を物理的に断ち切ることで、「力そのものを否定する」意志を明確に示すものであり、映画的に強い印象を与えるラストシーンとなっています。

ただし、原作にある「墓に戻す」「自然な死によって終わらせる」というテーマは省略され、より直接的な終焉として描かれています。

『ハリー・ポッターと死の秘宝』の視聴方法

映画の視聴方法

  • 動画配信サービス: U-NEXT、Hulu、Amazon Prime Videoなどの動画配信サービスで見放題またはレンタルで視聴可能です(2025年5月現在)。
  • DVD/Blu-ray: 各種オンラインショップや店舗で購入・レンタルが可能です。

原作小説の購読方法

  • 書籍: 全国の書店やオンライン書店で購入できます。
  • 電子書籍: 各種電子書籍ストアで配信されています。
  • オーディオブック: 耳で楽しむオーディオブック版も人気です。

ロケ地

【参考】
[1] Amazon.co.jp
死の秘宝
本当の意味で最高の「死の秘宝」とは

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