「森は多くの秘密を覆い隠す」
― J.K.ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』
J.K.ローリングがこう記したように、ホグワーツの敷地内に広がる「禁じられた森」は、数々の魔法動物が暮らし、物語の重要な秘密が隠された、危険でミステリアスな場所です。
美術監督スチュアート・クレイグが「主役のひとり」として捉えたこの森へ、あなたも足を踏み入れることができます。
この記事では、巨大セットの誕生秘話から、魔法動物たちの制作裏話、そして自らの手で魔法を体験する方法まで、禁じられた森のすべてを解き明かします。
Contents
禁じられた森とは
禁じられた森とは、ホグワーツ魔法魔術学校の敷地内に広がる、生徒の立ち入りが固く禁じられている広大な森のこと。
その名の通り、ユニコーンやケンタウルスといった神秘的な魔法生物から、巨大な蜘蛛アクロマンチュラのような危険なクリーチャーまで、数多くの生き物たちが暮らしているため、非常に危険な場所とされています。
物語の中では、罰則として森へ入ることを命じられたり、ハリーたちが冒険のために足を踏み入れたり、時には隠れ家となったりと、数々の重要な場面の舞台となりました。スタジオツアーでは、この恐ろしくも魅力的な森の雰囲気を、安全に体験することができます。
巨大セットの誕生秘話
シリーズ1作目では実在の公園(イギリス・バッキンガムシャーのブラックパーク)でロケ撮影されましたが、その後の作品では、この森はスタジオのサウンドステージ内に巨大なセットとして建設されることになりました。
美術チームは、直径4.2メートルにも及ぶ巨大な木々を使い、木の幹を天井から吊るして固定するという大掛かりな方法で、どこまでも続くかのような広大でリアルな森の空間を創り上げたのです。足元に広がる根や、立ち込める霧が、幻想的かつ不気味な雰囲気を醸し出しています。
森の住人たち
誇り高き魔法動物「バックビーク」とハグリッド

@魔法倶楽部
森の入口近くであなたを迎えるのは、誇り高き魔法動物ヒッポグリフの「バックビーク」です。
映画では大部分がCGで描かれましたが、ハグリッドの小屋のシーンなどでは、クリーチャー制作室が手掛けた精巧な実物大の動く模型も使用されました。
展示されているのはその模型であり、羽一枚一枚のディテールまで、そのリアルな質感と威厳に圧倒されるでしょう。敬意を込めてお辞儀をすることをお忘れなく。
巨大蜘蛛「アラゴグ」
森の奥深く、糸に覆われた巣で待ち構えているのが、巨大な蜘蛛「アラゴグ」です。
幅5.5メートルにもなるこの巨大なクリーチャーは、ヤクの毛やほうきの毛を手作業で接着して作られた精巧なアニマトロニクス(動く模型)。その複雑な動きを実現するため、撮影時には15人もの操演技師が必要でした。
その大きさとリアルな動きは、ツアーの中でも最大級のスリルを味わえる瞬間です。
空飛ぶフォード・アングリア
アラゴグの巣の近くには、ハリーとロンを乗せて暴れ柳に激突した、あの「空飛ぶフォード・アングリア」があります。
アラゴグに襲われるシーンの撮影では、1台ずつ傷み具合を変えた5台ものスタント用車(通称”ランボー”)が用意され、徐々に破壊されていく様子が撮影されました。
ケンタウルス

@魔法倶楽部
森の賢人であるケンタウルスは、半人半馬らしさを追求するため、顔の造形をより馬に近づけるというデザインが施されました。
眉間を広げ、頬骨を低くすることで、神話のクリーチャーに説得力のあるリアリティを与えています。
恐怖の化身「吸魂鬼(ディメンター)」
人の幸福を吸い取るディメンターは、中世の死をテーマにした絵画に描かれた、黒頭巾をまとった骸骨がデザインの元になっています。
『アズカバンの囚人』のアルフォンソ・キュアロン監督は、当初、水中で操作する人形でその幻想的な動きを表現しようと試みました。最終的にはCGで制作されましたが、その動きは当初の人形の動きを参考にしています。
守護霊(パトローナス)のインタラクティブ体験

©︎魔法倶楽部
ディメンターを追い払う強力な魔法「守護霊の呪文」。
撮影時、ハリーの守護霊である牡鹿は、LED付きの胴衣を着せた大型犬の動きを元に、CGと合成することで、リアルで幻想的な光の存在感が生み出されました。
ここでは、参加者が杖を振って、自分の守護霊を呼び出すインタラクティブ体験に挑戦できます。
舞台裏
ホグワーツの校門には、翼を広げたイノシシのオブジェが左右に設置されています。
このオブジェは、イタリアのフィレンツェに実在する子豚の銅像をモデルにしました。子豚の鼻をなでると幸運が訪れるそうですが、ホグワーツの生徒も安全な校舎から出るときは幸運が必要かもしれません。校舎の外には危険な魔法動物や秘密がひそむ“禁じられた森”が広がっているからです。
撮影所のサウンドステージを森に変えたのは大道具のスタッフ。巨大な立木から幹の一部と、地上に出た根を切り出したあと、幹をサウンドステージの天井につるして固定し、根と複合しました。
“禁じられた森”のセットは広大で、直径4.2メートルの大木も使われています。
まとめ
禁じられた森は、ただ怖いだけの場所ではありません。恐ろしいクリーチャーだけでなく、誇り高い魔法動物も暮らし、物語の重要な転換点が何度も描かれました。
そして何より、映画制作者たちの情熱と、アニマトロニクスやVFXといった驚くべき創意工夫が詰まった、魅力的な場所です。制作の裏話を知ることで、あなたの森の探検が、何倍も深く、豊かな体験になることを願っています。
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