呪文 | エクスペクト・パトローナム 守護霊よ来たれ |
英名 | Expecto Patronum |
種類 | チャーム |
用途 | 守護霊を呼ぶ |
概要[1]
エクスペクト・パトローナムは最も古い呪文の一つであり、初期の魔法に関する多くの記述に登場する。ディメンターに対して有効な唯一の呪文で、魔法使い間のメッセンジャーとしても使用することができる。ほとんどの魔法使いは守護霊を生成することができず、一般的には優れた魔力の証と考えられている。
リーマス・ルーピンなど、魔法使いの中には銀色の煙のような、動物の体を持たない守護霊を作り出す者もいる。このような守護霊は一定の防御力を持つものの、実体を持つ守護霊ような強い力は得られない。
純粋な心を持っていない魔法使いは守護霊を作り出すことができないという考えが広く知られている。しかし、ドローレス・アンブリッジなど、ごく少数だがモラルに疑問の残る魔法使いも守護霊を作り出すことに成功している。これは、自分の行動の正統性を信じる強い自信が、守護霊の生成に必要な幸福に繋がっているためだと考えられる。
死別、恋愛など、性格に影響を与える出来事があると、守護霊の形も変化することがある。ニンファドーラ・トンクスの守護霊は、リーマス・ルーピンと恋に落ちると、野ウサギからオオカミに変化した。
フクロウは魔法使いにとって関わりが深い動物であるのにも関わらず、その守護霊はあまり見かけない。
理論[1]
守護霊の姿は呪文が成功するまで分からず、予測するための方法はこれまでに発見されていない。18世紀の偉大な呪文研究者カタルス・スパングル教授は、一定の原則を証明し、現在広く受け入れられている。これによると、守護霊は「人格の中に隠された、未知の、しかし必要なもの」を表している。彼の名著『Charms of Defence and Deterrence』では、「ディメンターのような非人間的な悪に直面した者は、自分がこれまで必要としていなかったであろう資質を利用しなければなない。守護霊は必要とされるまで眠っていたが、今はそれを顕在化させなければならない。つまり、守護霊とは目覚めた秘密の自己なのだ。」と述べている。
術者が全く予期しない形の守護霊が生まれる理由について、スパングル教授次のように話している。
「守護霊が自分の好きな動物の形をしている場合、そのような守護霊は、執念や偏屈さを示している。術者である魔法使いは、日常生活で自分の本質的な部分を隠すことができず、他の人が隠したがるようなことを表に出す傾向がある。彼らの守護霊の形がどのようなものであっても、自分の選んだ守護霊を生み出す魔女や魔法使いには敬意を示し、時には注意を払うことをお勧めする。」
由来
ラテン語で「待つ」を意味するexspectoと「保護者・守護者」を意味するPatronus(パトローナス)に由来する。この2つを組み合わせると、「パトローナスを待つ」という意味になる。
登場シーン
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
ルーピンが守護霊の呪文で盾を作り、ホグワーツ特急に侵入してきたディメンターを追い払う。
ルーピンの指導でハリーが守護霊の呪文の特訓を始める。
グリフィンドール対レイブンクローのクィディッチの試合中にディメンターが現れ、ハリーが守護霊を呼ぶ。しかし、その正体は黒いローブをかぶったマルフォイ、クラッブ、ゴイル、フリントだった。
ハリーがシリウスを襲うディメンターを追い払うために使用した。一度目は失敗に終わるも、逆転時計で時を遡った未来のハリーは牡鹿の守護霊を呼ぶことに成功し、過去のハリーとシリウスを救う。
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
ハリーがディメンターに襲われているダドリーを救うために使用した。
ハリーの指導の元、ダンブルドア軍団で守護霊の練習が行われた。
OWL試験の闇の魔術に対する防衛術の実技試験で、試験官をしていたトフティ教授に守護霊を創り出せば特別点をつけると言われ、ハリーはアンブリッジがクビになるところを想像して守護霊を呼ぶことに成功する。
ハリー・ポッターと死の秘宝
分霊箱を手に入れたハリーたちは、魔法省から脱出する際にディメンターを追い払うために使用した。
グリンゴッツからドランゴンに乗って脱出したハリーたちは、ホグワーツに分霊箱が隠されていると考え、ホグズミード村からの侵入を計画する。到着した瞬間に警報が鳴り、待ち伏せしていたディメンターを追い払うためにハリーが守護霊を呼んだ。
アバーフォースがハリーたちを匿うため、死喰い人が見た守護霊は牡鹿ではなく山羊であると言い守護霊を呼んで見せた。
スネイプがダンブルドアに協力していたのはハリーのためではなくリリーのためであると伝えるため、牝鹿の守護霊を呼んだ。
ハリーをグリフィンドールの剣の隠し場所に導くため、スネイプが使用した。
登場作品
- 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』第12章「守護霊」、第13章「グリフィンドール対レイブンクロー」、第20章「吸魂鬼のキス」、第21章「ハーマイオニーの秘密」
- 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』第1章「襲われたダドリー」、第27章「ケンタウルスと密告者」、第31章「ふ・く・ろ・う」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第13章「マグル生まれ登録委員会」、第28章「鏡の片割れ」、第33章「プリンスの物語」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2』