今年1月6日、J.K.ローリングが久しぶりに自身の公式ホームページ を更新しました。これまでにもQ&Aページにオブスキュラスについて など、ディープな内容の質問に答えています。今回ファンから寄せられた質問は、彼女の職業でもある「書くこと」について。
「新人作家にコツがあれば教えて欲しい」との質問に、ローリング氏は繰り返し「人生にしろ物書きにしろ、『やることリスト』のようなものは無い。」と述べています。そして、そのようなことを言われると反抗心が生まれるそうで、「ベストセラー作家の10の共通点。この5つのヒントがあなたの文章を変える!J.K.ローリングのゴールデンルールに従え!」と、皮肉的に書店にいかにも並んでいそうな本のタイトルを例に挙げています。
成功を保証する10のルールはありませんが、もしあれば皆さんに教えると約束しましょう。一人でつまずきながら成功を見つけた、というのが実際のところです。そして、男の主人公は流行っていない、全寮制学校なんて嫌われる、子供向けの本は45,000字を超えてはダメだ、といった90年代の児童書に関する陳腐な風習をいつの間にか打ち壊していました。
「やることリスト」の代わりに、ローリング氏は「これ無しではおそらく成功しない」であろう5つのことを挙げています。
Contents
読書
特に新人へ向けたアドバイスとして、まず読書を勧めています。ローリング氏曰く、「熱心な読書家でないと、良い作家になることはできません。本を読むことは、どんな要素が良書を形成するのかを分析する上で最高の手段です。」何が良くて何がダメなのか、そして自分が楽しんだ点と理由に着眼することで、徐々に本の見る目が養われていきます。
書き始めはお気に入りの作家の模範からでも大丈夫。それも一つの良い学ぶ手段ですし、そこから徐々に自分特有の作家として伝えたい”声”を見つけられるようになるでしょう。
修行
誰しもが純粋なインスピレーションを受けた瞬間は素晴らしく、気持ちの良いものだと感じるでしょう。しかし、ローリング氏によれば、「多くの作家は言い古された陳腐な表現を改作し書きなおすばかりの人生」だそうで、インスピレーション(発想力)よりもパースピレーション(努力)の方を大切にするべきと語ります。発想の女神が微笑んでいないときにも、書き続けなければならないのです。
起き上がること、謙虚さ
何度でも起き上がり負けないこと、そして謙虚であることは実は密接に関わっていると話すローリング氏。『ハリー・ポッター』シリーズのみならず、ロバート・ガルブレイスの名で探偵小説も出版し「歴史上最も多くの報酬を得た作家」と言われている彼女の「拒絶と批判は作家の人生の一部だ」という言葉からはその重さが伝わってきます。
人の感想はとても役に立ちますし、必要なものです。しかし、素晴らしい作家の中には何度も断られた人もいます。自分の作品が批評されることを乗り越えたいのなら、断られても起き上がり、常に進み続けることは非常に重要です。一番厳しい批判は、しばしばあなたの頭の中にあります。
こう語る通り、ストイックな自身への批判が『賢者の石』の発案から出版まで7年がかかったことの理由の一つだそうで、「あまりに酷い出来だと確信していたので、原稿を数ヶ月もの間しまい込んでしまっていました」と話しています。
勇気
「失敗を恐れることは、やるべきことをやらない理由として、地球上で最も悲しいこと」だと話すローリング氏は、明らかに失敗作だと思っていた時に、勇気を出してエージェントと出版社に原稿を送り、そうして遂に「できるはずだ」とずっと思っていたことを実行しよう決断できるようになったそう。
結局、「ずっとやりたいと思っていたんだ」と話すような人よりも、自分の夢を実現した人に皆なりたいでしょう?
独立
これによって、”10のアドバイス”を信心深く守らなければならないんだ、と考えなくて済むようになったそう。独立するということは一人で何かを決断することが増えますが、そんな時、 Writer Beware というサイトを作家の卵に勧めているそうです。お金を払うに値するものか、それとも節約すべきものなのかといった、本当に役に立つものは何かを決断する上で、ぜひ参照して欲しいとのことです。
しかし究極的には、作家の仕事は全力を尽くすこと、出来るだけたくさんのことを学ぶこと。
ローリング氏がよく励まされているというロバート・ベンチリーの言葉を最後に、この質問への答えとしています。
自分に執筆の才能がないことに気がつくまで15年もかかった。でも、その時すでに有名になってしまっていたので、私は辞めることができなかった。