スコットランドは、『ハリー・ポッター』が生まれたエディンバラと、ホグワーツへ向かう列車やハグリッドの小屋の風景が撮影されたハイランド地方を、一度の旅でたどれる土地です。南のエディンバラでは作者J.K.ローリングの足跡を歩き、北西のハイランドでは蒸気列車と深い谷の景色に出会えます。
ただし、スポット同士はかなり離れています。周遊を成功させるコツは、エディンバラ市内の徒歩観光と、ハイランドへの長距離移動を分けて考えること。この記事では、各スポットの詳細は個別ガイドに任せ、鉄道とバスを使った現実的な回り方をまとめました。
周遊の基本情報
| 対象スポット | エレファント・ハウス、J.K.ローリングの手形、グレンコー、グレンフィナン高架橋 |
| 出発地 | エディンバラ(ウェイヴァリー駅) |
| 移動の軸 | ウェスト・ハイランド線と、A82を走るCitylinkバス |
| 宿泊拠点 | フォート・ウィリアム。グレンコーを入れる場合はグレンコー周辺にも1泊すると回りやすい |
| おすすめ時期 | ジャコバイト号の運行期間に当たる春から秋。日程は年ごとに変わります |
周遊する4スポット
魔法倶楽部のロケ地ハブで紹介しているスコットランドのスポットは、次の4か所です。前半の2つはエディンバラ市内で徒歩圏、後半の2つはハイランド地方にあります。
エレファント・ハウス|物語が生まれたカフェ

エディンバラ・ウェイヴァリー駅から徒歩約10分。J.K.ローリングが初期の作品を執筆したカフェとして知られます。2021年の火災で長期休業しましたが、2025年12月29日に再オープンし、火災から救い出された執筆テーブルは「ライターズ・ルーム」に置かれています。再オープン後の営業時間は変わりやすいため、訪問前に公式サイトで確認してください。
カフェの詳しい見どころは、エレファント・ハウスの個別ガイドで紹介しています。
J.K.ローリングの手形|市庁舎の中庭にある作者の足跡
ロイヤル・マイル沿いのエディンバラ市庁舎(シティ・チャンバース)の中庭に、ローリングの手形が残されています。2008年にエディンバラ賞を受賞したことを記念したもので、中庭は日中開放され、無料で見学できます。ウェイヴァリー駅から徒歩約8分、エレファント・ハウスからも徒歩約5分なので、エディンバラではこの2か所をセットで回るのが効率的です。
手形の由来と探し方は、J.K.ローリングの手形の個別ガイドをご覧ください。
グレンコー|ハグリッドの小屋があった谷
『アズカバンの囚人』をはじめとする作品で、ハグリッドの小屋のロケ地になった谷です。小屋や庭のセットは撮影後に撤去されましたが、クラカイグ・ガリーの斜面と小さな湖、周囲の山並みは映画の景色そのものです。目印は老舗パブのクラカイグ・イン。足元は草地や斜面になるため、防水性のある歩きやすい靴と雨具を用意しましょう。
グレンコーはウェスト・ハイランド線の駅からは直接行けません。A82を走る長距離バスを使うか、フォート・ウィリアムからバスやタクシーで向かうのが基本です。ロケ地の詳しい歩き方は、グレンコーの個別ガイドで解説しています。
グレンフィナン高架橋|ホグワーツ特急が渡る橋

96tommy / CC BY (https://creativecommons.org/licenses/by/2.0)
周遊のクライマックスは、シール湖を見下ろす21連アーチのグレンフィナン高架橋です。楽しみ方は、蒸気列車ジャコバイト号に乗って橋を渡る方法と、展望スポットから列車が渡る姿を見る方法の2通り。スコットレイルの普通列車も同じ橋を渡り、グレンフィナン駅で下車できます。
展望スポットへの行き方、通過時刻の目安、ジャコバイト号の料金と予約方法は、グレンフィナン高架橋の完全ガイドにまとめています。
移動の全体像
エディンバラからフォート・ウィリアムまでは、乗り換えを含めて約5時間を見ておくと安心です。鉄道はグラスゴー経由が基本で、グレンコーへ寄る場合はグラスゴーからA82のバスに切り替えるとスムーズです。
| 都市間 | エディンバラ・ウェイヴァリー駅からグラスゴー・クイーン・ストリート駅まで、鉄道で約55分 |
| ハイランドへ | グラスゴー・クイーン・ストリート駅からフォート・ウィリアムまで、ウェスト・ハイランド線で約3時間50分 |
| 終点方面 | フォート・ウィリアムからマレイグまで鉄道で約1時間40分。グレンフィナン高架橋はフォート・ウィリアム発の約30分後に通過 |
| グレンコーへ | グラスゴーからCitylinkバスでグレンコー・ビジターセンター周辺まで約2時間30分。グレンコーからフォート・ウィリアムまでは約35〜45分 |
所要時間は2026年11月確認時点の目安です。ウェスト・ハイランド線もCitylinkバスも本数は限られるため、往路だけでなく、最終日の帰りの便まで先に確認してください。鉄道の路線案内はスコットレイル公式サイト、バス路線はCitylink公式サイトで確認できます。
モデルコース1|1泊2日で鉄道の要点を巡る
グレンコーを外し、エディンバラとグレンフィナンに絞る最短コースです。移動が長いので、ジャコバイト号の運行日に合わせて組んでください。
1日目:エディンバラの作者ゆかりの地からフォート・ウィリアムへ
午前中は、J.K.ローリングの手形とエレファント・ハウスを徒歩で回ります。2か所は約5分しか離れていないため、合わせて1時間半から2時間ほど見ておくと余裕があります。エレファント・ハウスの営業時間と混雑状況は、当日前に公式サイトで確認してください。
昼過ぎにはエディンバラを出発。ウェイヴァリー駅からグラスゴー・クイーン・ストリート駅まで約55分、乗り換えてウェスト・ハイランド線でフォート・ウィリアムまで約3時間50分です。フォート・ウィリアムには夕方から夜に着くため、そのまま宿泊します。ジャコバイト号の出発に間に合わせる意味でも、フォート・ウィリアム前泊が基本です。
2日目:ジャコバイト号でマレイグ往復、夜に帰路へ
午前発のジャコバイト号でグレンフィナン高架橋を渡り、マレイグへ。
港町で折り返しまでの時間を過ごし、夕方前にフォート・ウィリアムへ戻る流れが一般的です。その後はスコットレイルでグラスゴーへ戻り、エディンバラまで足を延ばす場合は夜遅い到着になります。
帰りの乗り換えが合わない年や曜日もあるため、その場合はフォート・ウィリアムにもう1泊するか、帰着地をグラスゴーに変えてください。ジャコバイト号が満席のときや運休日には、スコットレイルでグレンフィナン駅まで行き、展望スポットから普通列車と高架橋を眺めるプランに切り替えられます。
モデルコース2|2泊3日でグレンコーまで回る
4スポットをすべて入れるなら、こちらがおすすめです。
鉄道だけでなくA82のバスを使うことで、ウェスト・ハイランド線では直接行けないグレンコーを無理なく組み込めます。
1日目:エディンバラ観光のあと、バスでグレンコーへ
午前中は手形とエレファント・ハウスを巡り、昼前後にエディンバラからグラスゴーへ鉄道で移動します。グラスゴーではクイーン・ストリート駅からブキャナン・バスステーションへ歩いて乗り換え、CitylinkバスでA82を北上。グレンコー・ビジターセンター周辺までは約2時間30分です。
午後の明るい時間に、クラカイグ・インを目印にハグリッドの小屋があった斜面へ。初日の天気が悪い場合は、無理をせずビジターセンター周辺にとどめ、翌朝に回してください。この日はグレンコー村やビジターセンター周辺に宿泊します。宿の数が限られるため、列車やバスと同時に予約するのが安全です。
2日目:グレンコーからフォート・ウィリアムへ
午前はグレンコーの谷とビジターセンターをゆっくり見学。前日に行けなかった場合は、この時間に小屋の跡地へ向かいます。昼前後、Citylinkバスでフォート・ウィリアムへ移動します。所要時間は約35〜45分です。
午後はフォート・ウィリアムの町で翌日の列車に備え、早めに休むのがおすすめ。高架橋を外からも撮影したい場合は、スコットレイルでグレンフィナン駅へ足を延ばし、展望スポットとグレンフィナン記念碑を合わせて回れます。グレンコー周辺に宿が取れない場合は、フォート・ウィリアムに2連泊し、2日目をグレンコー日帰りに変えても同じ行程を組めます。
3日目:ジャコバイト号に乗ってエディンバラへ戻る
午前発のジャコバイト号でマレイグを往復し、グレンフィナン高架橋を車窓から楽しみます。
フォート・ウィリアムに戻ったあとは、スコットレイルでグラスゴー経由エディンバラへ。乗り換えを含めて約5時間かかるため、エディンバラ到着は夜になります。翌日に長距離移動や帰国便がある場合は、フォート・ウィリアムでの延泊も検討してください。
ジャコバイト号と予約の実務メモ
運行シーズンと予約開始を先に確認する
ジャコバイト号は季節運行です。2026年の運行は10月23日で終了しました。2026年11月確認時点では、運営会社ウェスト・コースト・レイルウェイズの公式サイトで、2027年の運行日、時刻、料金はいずれも発表待ちとなっています。例年は春から秋に運行され、午前便が中心で、混雑期には午後便が加わることもありますが、先にホテルや航空券を固めすぎず、公式発表に合わせて旅程を組んでください。
予約はウェスト・コースト・レイルウェイズ公式サイトから行います。チケットはフォート・ウィリアムとマレイグの往復専用で、片道利用はできません。指定された日付と列車の往復にのみ有効なため、マレイグに宿泊したい場合は、別にスコットレイルのチケットを使ってください。人気が高い路線なので、発売後は早めの予約が安心です。当日にフォート・ウィリアム駅で現金販売される席が少数ある場合もありますが、公式サイトでも保証はされていません。
前泊と代行運転の可能性を織り込む
運営会社の案内では、ジャコバイト号の当日朝にグラスゴーから通常の列車で向かうと、午前便の出発に間に合わないことがあるため、前日にフォート・ウィリアムへ到着する方法が勧められています。宿もシーズン中は混み合うので、ジャコバイト号の予約と同時に押さえましょう。
また、猛暑や山火事の危険が高い時期、機関車の不具合がある場合には、運休や、蒸気機関車ではなく旧型ディーゼル機関車による運転になることがあります。蒸気機関車に乗ることだけを旅の目的にせず、グレンフィナンの景色やマレイグの港町も含めて楽しめる行程にしておくと安心です。
スコットレイルは「見る」旅の強い味方
スコットレイルの普通列車も、ジャコバイト号と同じウェスト・ハイランド線とグレンフィナン高架橋を走ります。
蒸気機関車にこだわらない場合は、季節運行に左右されにくいこちらが便利です。特に、高架橋を丘の上から撮影したい場合は、フォート・ウィリアムからグレンフィナン駅まで普通列車で行き、展望スポットで待つ方法が向いています。
スコットレイルでは、事前に買うAdvanceタイプのチケットで運賃を抑えられることがあります。反対に、ハイランドのバスは天候や道路状況で遅れることもあるため、列車への乗り換えには余裕を持たせてください。Citylinkバスも、繁忙期は事前予約が推奨されています。
季節と装備
モデルコースは、ジャコバイト号が運行し、日照時間も長い春から秋を想定しています。
冬はジャコバイト号が運休するうえ、グレンコーの斜面は短い日照と悪天候の影響を受けやすく、同じ行程は組みにくくなります。季節を問わず、ハイランドでは天気が急変します。防水ジャケットと歩きやすい靴を必ず用意してください。
まとめ
スコットランド周遊の鍵は、エディンバラの作者ゆかりの地を徒歩でまとめ、ハイランドではフォート・ウィリアムを拠点にすること。
1泊2日ならエディンバラとグレンフィナン、2泊3日ならグレンコーまで欲張れます。ジャコバイト号の運行日と予約が旅程全体を決めるため、まず公式サイトでシーズン日程を確認し、列車、バス、宿を同じタイミングで押さえるのがおすすめです。
※所要時間、運行日、料金は変わることがあります。訪問前にウェスト・コースト・レイルウェイズ、スコットレイル、Citylinkの公式サイトで最新情報をご確認ください。