呪文名 | オブリビエイト 忘れよ |
英名 | Obliviate |
分類 | チャーム |
効果 | 対象の記憶を消す |
「オブリビエイト(Obliviate)」は、対象者の記憶を消去または改変するための強力な呪文で、魔法界の秘密を守るために頻繁に使用されます。
この記事では、その呪文の意味、使い方、登場シーンまで詳しく解説します。
Contents
オブリビエイトとは?
呪文の意味と語源
オブリビエイトは、特定の記憶を消去する呪文です。
ラテン語の「oblivio(忘れる)」に由来します。
この呪文の効果は術者の技量に大きく依存し、適切に使用されれば特定の記憶だけを消去できますが、誤って使用すると対象者の記憶全体を消してしまう危険性があります。
術をかけられた対象は、目がとろんとし、夢を見ているような感覚に陥ります[1]。また、忘却術は強力な魔法使いであれば破ることができます[2]。
歴史と使用例
オブリビエイトは、16世紀の魔女メモニー・ラドフォードによって開発されました。
魔法省の魔法事故災害部には「忘却術士(Obliviator)」という職業があり、マグルが魔法を目撃してしまったり、魔法が誤って使用された際に記憶を修正して、魔法界の秘密を保持しています。
ラドフォードは初代忘却術士として活動しました。
注意点とリスク
「オブリビエイト」は非常に強力な呪文であり、誤って使用すると対象者の記憶全体を消去し、深刻な脳損傷を引き起こす可能性があります。
例えば、ギルデロイ・ロックハートは壊れた杖でこの呪文を使用し、自身の記憶を失ってしまいました。
また、バーティ・クラウチ・シニアがバーサ・ジョーキンズに強力な忘却呪文をかけた結果、彼女は慢性的な記憶障害を抱えることになりました。
映画の中でのオブリビエイト|登場場面
ハリー・ポッターと秘密の部屋
ギルデロイ・ロックハートは、自分の過去の偉業を偽っていたため、ハリーとロンの記憶を消して真実を隠そうとします。
その際に「オブリビエイト」を使用するものの、壊れたロンの杖を使ったため呪文が逆流し、自分自身の記憶を完全に失ってしまいます。
ハリー・ポッターと炎のゴブレット
1. クィディッチ・ワールドカップ
1994年のクィディッチ・ワールドカップにおいて、魔法省の役人が開催地であるキャンプ場のマグルの管理人・ロバーツ氏に使用しました。
大会期間中、ロバーツ氏は魔法使いたちの奇妙な行動や魔法的な出来事に何度も遭遇したため、その都度、魔法省の忘却術士たちによって記憶を修正されました。特に死喰い人たちがマグルを襲撃した際、彼とその家族は直接的な被害を受け、その後、再び記憶を消去されることとなりました。
この一連の出来事は、魔法界の秘密保持のためにマグルの記憶を操作することの倫理的な問題を浮き彫りにしています。
2. バーティ・クラウチ・ジュニアの存在を隠すための記憶操作
バーティ・クラウチ・シニアは、アズカバンから密かに脱獄させた息子バーティ・クラウチ・ジュニアの存在を隠すため、魔法省の職員であるバーサ・ジョーキンズにオブリビエイトをかけました。
しかし、ヴォルデモート卿とピーター・ペティグリューは、バーサの記憶を拷問によって記憶を回復させ、クラウチ家の秘密を引き出しました。この過程でバーサは深刻な精神的ダメージを受け、最終的には命を落とすこととなります。
この事件は、記憶消去呪文の使用がもたらす危険性と、その限界を示しています。
ハリー・ポッターと死の秘宝
1. ハーマイオニーが両親の記憶を消す
ハーマイオニーは、自らの両親をヴォルデモートの脅威から守るため、「オブリビエイト」で自分に関する記憶を完全に消します。両親は彼女の存在を忘れ、遠く離れたオーストラリアで新しい人生を送るようになりました。
映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』の冒頭、ハーマイオニー・グレンジャーは、ヴォルデモート卿との戦いに備え、両親を守るために「オブリビエイト」の呪文を使用します。
この呪文により、両親の記憶からハーマイオニーの存在が完全に消去され、彼女の写真も家中から消え去ります。彼女は両親に新たな記憶を与え、ハーマイオニーの存在を知らずに遠く離れたオーストラリアで新しい人生を送るようになりました。
なお、戦争終結後、ハーマイオニーは両親の記憶を回復させ、再会を果たしたとされています。
2. カフェでデスイーターを倒した後の記憶消去
映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』において、ハリー、ロン、ハーマイオニーは、ビルとフラーの結婚式がデスイーターに襲撃された直後、ロンドンへ逃れます。
逃走中に立ち寄ったカフェで、2人のデスイーター(ヤックスリーとドルホフ)に襲われますが、交戦の末に撃退します。その直後、追跡を防ぐために、ハーマイオニーは「オブリビエイト」の呪文を唱えて、彼らの記憶からハリーたちの姿や会話、場所を消し去ります。
戦時下における魔法使いの戦術として、この呪文がいかに重要かを示す場面です。
3. ゼノフィリウス・ラブグッドの記憶消去
ハリーたちが〈死の秘宝〉の謎を追ってゼノフィリウス・ラブグッドの家を訪れた際、ゼノフィリウスは愛娘ルーナを人質に取られていたため、ハリーたちを裏切ってデスイーターに通報します。直後にデスイーターが襲来するも、ハリーたちはなんとか脱出。
ロンが変装のために黒斑病で寝ていることになっていたため、ゼノフィリウスがロンの正体を知らないよう記憶を操作する必要がありました。ハーマイオニーは、ゼノフィリウスに「オブリビエイト」を使用して、ロンや自分たちの行動に関する記憶を消し、安全を確保します。
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
ニュート・スキャマンダーは、ニューヨークで魔法生物の騒動が広がった後、記憶忘却の成分を混ぜた雨を降らせることで、目撃したノー・マジ(マグル)の記憶を一斉に消します。魔法界の存在を守るための苦渋の判断でした。
登場作品
- 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』第16章「秘密の部屋」
- 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第7章「バグマンとクラウチ」、第33章「死喰い人」、第35章「真実薬」
- 『ハリー・ポッターと死の秘宝』第9章「隠れ家」、第22章「死の秘宝」
まとめ|オブリビエイトは忘却魔法
オブリビエイトは、魔法界の秘密を守るために不可欠な呪文であり、適切に使用されれば非常に有用です。
しかし、その強力さゆえに誤用すると深刻な結果を招く可能性があるため、慎重な取り扱いが求められます。
【参照】
[1]『ハリー・ポッターと死の秘宝』第9章「隠れ家」
[2]『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』第1章「リドルの館」