登場人物

シビル・トレローニ

名前 シビル・トレローニ
英名 Sybill Patricia Trelawney
誕生 3月9日
死去
性別 女性
血統 半純血
職業 占い学教授
レイブンクロー
家族 カサンドラ・トレローニ (玄祖母)
ハシバミの木、ユニコーンのたてがみ、9½インチ、非常にしなやか
守護霊 不明
まね妖怪 不明
演じた俳優 エマ・トンプソン(映画版)

シビル・トレローニは、『ハリー・ポッター』シリーズに登場する、大きな眼鏡とたくさんのショールが印象的なホグワーツの占い学教授です。

彼女の口から語られる不吉な予言の数々に、「この人は本物なの?それともただの偽占い師?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ヴォルデモートに与えた決定的な"本物の予言"、ダンブルドアとの関係について、わかりやすく解説します。

シビル・トレローニとは何者?その出自と人物像

トレローニ教授は、ただの風変わりな占い師ではありません。彼女の背景には、偉大な血筋と、彼女自身が抱えるコンプレックスが存在します。

名前の由来

姓|トレローニー (Trelawney) について

原作者のJ.K.ローリング氏はコーンウォール地方の姓が好きで、この姓を選びました。

名前の響きが「印象的で魅力的」であり、ペテンを思わせるような滑稽な名前は避けたかったと述べています。「トレローニー」は非常に古い名前であり、シビルが自分の家系を過度に頼りにして人を感心させようとする性格を示唆しています。また、この名前が登場するコーンウォールの古い美しい歌(『The Song of the Western Men』)も存在します。


名|シビル (Sybill) について

「シビル(Sybill)」は、古代の女性予言者を指す「シビュラ(Sibyl)」の同音異義語です 。当初、アメリカの編集者は「Sibyl」という綴りを望んでいましたが、ローリング氏は自身の「Sybill」という綴りを好みました。

その理由として、この綴りは古代の偉大な予言者を連想させつつも、実際には「シビル(Sybil)」という、やや古風な女性名の派生形に過ぎないからです。ローリング氏は、トレローニ教授が偉大な「シビュラ(Sibyl)」の域には達していないと感じており、こちらの綴りの方が彼女のキャラクターにふさわしいと考えました 。

本物の予言者の家系

シビル・トレローニと彼女の著名な祖先との関係は、人物像を理解する上で非常に重要です。彼女は、著名な本物の予言者(Seer)であるカサンドラ・トレローニの玄孫(孫の孫)にあたります。

シビルは、この偉大な祖先の影の中で育ちました。常にその才能をカサンドラと比較されることを、彼女自身も痛いほど自覚していたのです。カサンドラの強力な予言の才能は、世代を重ねるごとに大幅に薄まってしまいましたが 、シビルは自らが知る以上にその「第二の目」を受け継いでいました。

カサンドラの名声は非常に大きく、アルバス・ダンブルドアが礼儀としてシビルとの面接に同意した理由の一つも、カサンドラの評判の高さにありました。シビル自身も、その偉大な血筋を拠り所にしようとすることがあり 、それは彼女の自信のなさの裏返しでもあります。この関係性は、シビルにとって誇りであると同時に、彼女を形成する大きなプレッシャーの源泉となっていたのです。

外見とイメージ

大きな拡大鏡のような眼鏡と、キラキラ光るショールを幾重にもまとった姿が特徴ですこの風貌は、彼女が「本物の占い師」らしく見せようとしたためでした

偽物か本物か?占い師としての二面性

トレローニ教授の占い師としての能力は、多くの生徒や教授からその信憑性を疑われていました。しかし、彼女には確かに「本物」の予言者としての姿も存在しました。

普段の彼女は、人をあっと言わせるための「占い師のトリック」に長けていました。

例えば、最初の授業でネビルの神経質な様子を正確に読み取り、彼がカップを割ると予言して的中させます。

さらに、ラベンダー・ブラウンにした曖昧な予言を、彼女自身がペットの死と結びつけたりするなど 、その多くは話術や偶然、そして信じやすい生徒たちの思い込みを利用したものでした。しかしハーマイオニーは、うさぎが死んだのは前日であり、ラベンダーはその死を予期していなかったと論理的に指摘しています。このように、その能力を多くの人物から疑われていました。

その芝居がかった「占い師」として振る舞いの一方で、シビルはごく稀に本物の千里眼の力が発揮される瞬間がありました。

それは彼女の意識とは無関係に起こるもので、その予言を発したこと自体を全く覚えていないのです。物語に影響を及ぼした重大な予言は、すべてこの無意識の状態で発せられており、この無意識下での予言こそが、彼女が「本物の予言者」であることの証明でした。

物語の運命を決定づけた2つの「本物の予言」

普段のシビル・トレローニは、その才能は偽物であると評されています。

しかし彼女は、本人も覚えていない無意識の状態で、魔法界の歴史を根底から揺るがす極めて重要な「本物の予言」を2度行っていました。

第一の予言|スネイプの盗み聞きとハリーの宿命

最も重要な第一の予言は、ホッグズ・ヘッドで行われたダンブルドアとのホグワーツ教授の採用面接の最中に行われました。

ダンブルドアが彼女の能力に懐疑的で、不採用を決めかけたその瞬間に、トレローニは突如としてトランス状態に陥りました。そして、普段とは全く異なるしゃがれた声で、「闇の帝王を打ち破る力を持つ者が近づいている」と語り始めたのです。

この時、部屋の外では死喰い人であったセブルス・スネイプが盗み聞きをしていました。しかし、彼は予言の全てを聞く前に発見され、聞き取れた不完全な情報だけをヴォルデモート卿に報告します。

この予言とは、「7月の終わりに生まれ、ヴォルデモートに三度逆らった親を持つ男の子が、闇の帝王を打ち破る力を持つ」ことを示していました。この条件にはハリー・ポッターとネビル・ロングボトムの二人が該当しました。しかし、スネイプから報告を受けたヴォルデモートが自らの脅威としてハリーを選び、印をつけたことで、予言はハリーについてのものであると決定づけられました。

この予言こそが、ポッター家の悲劇とハリーの過酷な運命、ひいては物語全体の始まりとなったのです。

予言の重大さを理解したダンブルドアは、トレローニを保護するためにホグワーツへ迎え入れます。一方、自らの報告が愛するリリーの死を招いたことを知ったスネイプは、生涯をかけた後悔と共に、ダンブルドア側の二重スパイとなることを決意するのでした。

第二の予言|ヴォルデモート復活の序章

第二の予言は、第一の予言から十数年後、ハリーの占い学の期末試験中に行われました。

この時もトレローニは突然トランス状態となり、「今宵、闇の帝王の召使いが鎖を断ち切り…主人との再会を果たすであろう」と告げました。彼女自身はこの出来事を全く覚えていませんでしたが、これは12年間ネズミの姿で隠れていたピーター・ペティグリューが逃亡し、ヴォルデモート卿のもとへ帰還することを正確に言い当てていました。

この出来事が、翌年の『炎のゴブレット』で描かれるヴォルデモート復活の直接的な引き金となります。この予言は、闇の帝王の復活に向けた最初の重要な一歩を示したものでした。

周囲との関係と意外な一面

孤立しがちなトレローニですが、他者との関わりの中で彼女の人間性が垣間見えます。

マクゴナガルとの関係

J.K.ローリング氏によると、トレローニとマクゴナガルは正反対の性格です 。普段はトレローニを批判していたマクゴナガルですが、アンブリッジが彼女を屈辱的に追い出そうとした際には、人間としての優しさを示し、トレローニを毅然と守りました 。

ホグワーツの戦いでの活躍

最終決戦では、普段の彼女からは想像もつかない勇敢さを見せます。死喰い人のフェンリール・グレイバックに対し、武器として水晶玉を投げつけて殴り倒すという活躍をしました 。

登場作品

まとめ|物語の「本当の」きっかけとなった予言者

シビル・トレローニは、『ハリー・ポッター』シリーズにおいて最も矛盾に満ちた人物かもしれません。普段はシェリー酒を片手に不吉な予言を繰り返す、どこか滑稽で胡散臭い占い師。しかしその仮面の下には、本人すら制御できない、魔法界の運命を左右する本物の「予言」の力が眠っていました。

ホッグズ・ヘッドでのたった一度の無意識の予言が、ヴォルデモートを暴走させ、スネイプに生涯の後悔を刻み、そしてハリー・ポッターという「生き残った男の子」を生み出しました。彼女の存在なくして、この物語は始まらなかったのです。

偉大な祖先の影に怯え、自らの不確かさから奇妙な言動を繰り返した彼女は、決して完璧な英雄ではありません。しかし、シビル・トレローニは紛れもなく、魔法界最大の戦いの中心にいた、無自覚の神託者でした。物語の最も重要な運命が、最も意外な人物によって動かされることを、彼女は静かに教えてくれます。

【参考】

Prophecies and predictions of the wizarding world Published on Jan 24th 2023
Sybill Trelawney By J.K. Rowling Originally published on pottermore logo on Aug 10th 2015

WIZARDING WORLD characters, names, and related indicia are © & ™ Warner Bros. Entertainment Inc. Publishing Rights © JKR. (s25)

-登場人物