名前 | リリー・ポッター (旧姓エバンズ) |
英名 | Lily Potter |
誕生 | 1960年1月30日 |
死去 | 1981年10月31日 |
性別 | 女性 |
血統 | マグル生まれ |
職業 | |
所属 | グリフィンドール |
家族 | ・ジェームズ・ポッター(夫) ・ハリー・ポッター(息子) ・ペチュニア・ダーズリー(姉) |
杖 | |
守護霊 | 雌鹿 |
まね妖怪 | |
演じた俳優 | ジェラルディン・ソマーヴィル(成人) エリー・ダーシー=オルデン(学生時代) アリエラ・ミア・ベイリー(幼少期) |
リリー・エバンズは、ハリーの母として知られています。
マグル出身ながら類まれな魔法の才能を持ち、ホグワーツでは成績優秀で、正義感と愛情に満ちた人物でした。
本記事では、彼女の学生時代からジェームズとの結婚、ハリー誕生、そしてその死が物語に与えた影響まで、詳しくご紹介します。
Contents
経歴
1971年|ホグワーツ入学
リリーは11歳でホグワーツ魔法魔術学校に入学し、グリフィンドール寮に組分けされます。
彼女はマグル出身ながら、生まれつき魔法の才能に恵まれた生徒でした。
入学前から親交のあったセブルス・スネイプはスリザリンに入りますが、ふたりの間には変わらぬ友情があり、学業や魔法について語り合っていました。
リリーは明るく正義感が強く、教師たちからも好印象を持たれていました。
1972〜1974年|才能の開花とスラグ・クラブ
2〜4年生のリリーは学業面で優秀さを際立たせ、とりわけ魔法薬学の分野で目覚ましい成果を上げます。
ホラス・スラグホーン教授の目に留まり、彼が主催するスラグ・クラブに招かれていました。
クラブ内では純血の生徒にも物怖じせず、堂々と自分の意見を述べていました。スネイプとの友情も続いていますが、彼の闇の魔術への傾倒を心配しながらも寄り添っていた時期でもあります。
1975年|友情の終焉と自立への転機
5年生のある日、スネイプがリリーを「穢れた血」と呼んだことで、ふたりの友情は決裂。
リリーはこれまでスネイプをかばっていたましたが、この一言で深く傷つき、彼の周囲にいる死喰い人予備軍の仲間との関係も嫌悪するようになります。
同じころ、ジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックによるスネイプいじめの現場に遭遇し、悪戯仕掛け人(マローダーズ)に対する反感を抱くようになります。彼女にとって正義と尊厳が何よりも大切だった。
1976〜1978年|ジェームズとの恋愛
6年生でリリーは監督生に任命されます。ジェームズ・ポッターも同時に監督生に選ばれ、ふたりは距離を縮めていくように。
今までは彼の傲慢さに嫌悪感を抱いていましたが、次第に彼の成長を認めるようになります。
1978〜1979年|卒業と結婚、第一次魔法戦争へ
1978年にホグワーツを卒業したリリーは、ジェームズ・ポッターと結婚します。
ふたりは闇の魔法使いに対抗する「不死鳥の騎士団」に加わり、ヴォルデモートの勢力と戦う日々を送ります。
リリーはマグル生まれでありながら魔法に優れており、騎士団でも信頼される存在でした。若くして戦いに身を投じながらも、正義と家族への深い愛情を失わずに生き抜いていきます。
1980年|ハリー・ポッター誕生
1980年7月31日、リリーは長男ハリー・ポッターを出産します。
喜びもつかの間、セブルス・スネイプが預言の一部をヴォルデモートに伝えたことで、ハリーが標的とされることになります。
これを受け、リリーとジェームズは「フィデリウスの呪文」で守られた家に身を隠すことになりました。
1981年|裏切りと死、守りの魔法の始まり
1981年10月31日、ペティグリューの裏切りによりヴォルデモートがポッター家を襲撃します。
リリーは命をかけてハリーを守り、自らの命と引き換えに「古代の守りの魔法」を発動させました。
彼女はヴォルデモートの「脇へどけ」という命令を拒み、愛による防衛魔法を残して命を落とします。この行為がヴォルデモートの力を一時的に打ち砕き、魔法界の希望となったのです。
トリビア・裏話
リリーの名前「エバンズ」の由来
リリーの旧姓「エバンズ(Evans)」は、実在の作家ジョージ・エリオット(本名:メアリー・アン・エバンズ)に由来しています。
J.K.ローリングは、リリーを「知的で魅力的な女性」として描きたかったため、エリオットの名前を選びました[2]。
また、リリーはマグル生まれの魔女のため、ファンの間では彼女の姓「エバンズ」が「普通の家庭から魔法界へ来た」ことを象徴しているという解釈がされています。
なお、名前の「リリー」は無邪気さや純粋さを象徴する意味する「ユリの花(Lily)」に由来しています。
彼女が持つ純粋で正義感に満ちた性格を反映した名前です。さらに、「生命力」や「希望」とも結びついており、ハリーの命を守るために自己犠牲を払う姿勢にぴったりです。
無性の愛
リリーの「無償の愛」は、『ハリー・ポッター』シリーズにおける魔法の力の源泉として、J.K.ローリングが繰り返し強調している重要なテーマです。
リリーは、ヴォルデモートの呪いから息子ハリーを守るために命を捧げました。この自己犠牲の行為は、魔法界で最も強力な防御魔法を生み出し、ハリーに対するヴォルデモートの攻撃を跳ね返す結果となります。この現象は「古代の魔法」と呼ばれ、リリーの純粋で無償の愛が引き起こしたものとされています。J.K.ローリングは、リリーの愛が「魔法的な効果を持つ」と述べ、愛の力が物理的な魔法の枠を超えて作用することを示唆しています。
また、J.K.ローリングは「死の秘宝」の巻末インタビューで、リリーの愛がハリーを守る力となり、ヴォルデモートを打倒する鍵となることを明言しています。このように、リリーの無償の愛は、物語の根幹を成す魔法的な力として描かれています。
このテーマは、シリーズ全体を通じて繰り返し登場し、愛の力が最も強力な魔法であることを読者に伝えています。リリーの自己犠牲と愛の力は、物語の中で最も感動的で深いメッセージの一つとされています。
ペチュニアとの関係
リリー・エバンズとペチュニア・ダーズリーは実の姉妹ですが、魔法使いとマグルという立場の違いや価値観の相違から、複雑な関係を築きました。
J.K.ローリングは、「ペチュニアはリリーに対して強い嫉妬と後悔を抱いていたが、それを愛として表現することができなかった」ことを明かしています。
この姉妹関係は、『ハリー・ポッター』シリーズにおける「嫉妬」「拒絶」「愛」の重要なテーマに深く結びついています。
幼少期と魔法界への憧れ
ペチュニアも当初は魔法の世界に憧れを抱いており、ホグワーツに通いたいと手紙まで書いたほどです。
しかし、ダンブルドアからの返答で自分に魔法の才能がないと知り、強い嫉妬と劣等感を抱くようになります。
リリーが魔法界へ行ってから|関係の悪化
リリーがホグワーツに入学してからは、姉妹の関係が徐々に冷え込んでいきます。
ペチュニアは魔法界を「異常なもの」と蔑むようになり、リリーに対して距離を置くようになります。これは、魔法の力を持たない自分へのコンプレックスが反転し、「魔法嫌い」という仮面をかぶることで自己を守っていたと解釈されています。
結婚とリリーとの断絶
ペチュニアはロンドンでタイピングのコースを受講し、事務職に就く中でヴァーノン・ダーズリーと出会い、結婚しました。
彼女は「普通」であることに強く執着し、魔法界との関係を断ち切る決意を固めました。リリーの結婚式には出席せず、最終的に姉妹の関係は断絶しました。
ハリーへの態度と内面の葛藤
リリーの死後、ペチュニアはダンブルドアの要請でハリーを引き取りましたが、彼を冷遇し続けました。
ダンブルドアがリリーの「血」の保護魔法をハリーに継続させるために、ペチュニアの家に住まわせる必要があったことから、彼女は渋々それを受け入れたに過ぎません。
しかし、『ハリー・ポッターと死の秘宝』でハリーと別れる際、ペチュニアは何かを言いかけて言葉を飲み込む描写があります。
J.K.ローリングはこの場面について、「ペチュニアの中に、長い間忘れられていたが微かに残る妹への愛情や、二度とリリーの目を見ることができないという現実への気づきが、ハリーへの別れの際に表れそうになった」と述べています。
まとめ
リリーとペチュニアの関係は、「愛するがゆえに憎む」「羨望がやがて拒絶に変わる」といった、現実の人間関係にも通じる複雑さを持っています。
魔法使いとマグル、姉妹という近しい存在の間に生じた断絶と後悔は、シリーズにおけるもうひとつの感情の軸として読者に深い印象を与えています。
まとめ|リリー・エバンズが物語に与えた影響
リリー・エバンズは、ただの“ハリーの母親”ではありません。
彼女の選択と行動がなければ、ハリーは生き残ることができず、魔法界の未来も変わっていたでしょう。
スネイプ、ジェームズ、そしてハリーとの関係を通して、「愛」というテーマの核にいたリリーの存在は、シリーズを通して最も重要なキャラクターの一人といえます。
【参考】
[2] A Conversation with JK Rowling & Daniel Radcliffe
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