「9と3/4番線」とは、ロンドンのキングス・クロス駅、9番線と10番線の間にある秘密のプラットホーム。ホグワーツの生徒たちにとって、「9と3/4番線」は魔法の世界への旅立ちを象徴する、特別な場所です。
スタジオツアー東京では、ハリーのように9番線と10番線の間をカートで通り抜ける記念撮影はもちろん、「ホグワーツ特急」の中を見学することができます。
この記事では、この象徴的なエリアの見どころから、監督が駆使した驚くべき撮影方法、そして列車にまつわる制作秘話まで徹底的に解説します。
「新学期は九月一日に始まることをお知らせいたします。ホグワーツ特急はキングズ・クロス駅、9と4分の3番線から十一時に出発します。」
― J.K.ローリング『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(松岡佑子訳/静山社)
Contents
忠実再現されたセットや衣装!
見どころ紹介
キングス・クロス駅での撮影秘話
映画の撮影は、実在するロンドンのキングス・クロス駅で行われました。
キングス・クロス駅は英国を代表する主要な駅で、混雑の激しいことで有名です。国際的なターミナル駅でロケを敢行するには撮影の時間、場所、方法に関してさまざまな条件がありました。
混雑を避けるため、撮影は毎回、利用客の少ない日曜日に限定。美術デザイナーのスチュアート・クレイグは、美しいレンガ造りの4番ホームと5番ホームを、ホグワーツ特急が発着する9と3/4番線ホームに仕立てました。
撮影隊はなるべく人目につかないよう注意したものの、真っ赤なホグワーツ特急はすぐに駅の利用客に見つかってしまいます。クリス・コロンバス監督は、興奮した撮影の見物客に囲まれた中でのロケを、良い思い出として振り返っています。
このロケをきっかけに、キングス・クロス駅は世界中からハリー・ポッター・ファンが訪れる人気スポットになりました。
通り抜けの術
『賢者の石』でハリーが初めて壁を通り抜けるシーンは、多くのファンの記憶に刻まれています。スタジオツアーでは、壁に吸い込まれていくカートと共に記念撮影をすることができます。
実は『賢者の石』でこのシーンを撮影した際、クリス・コロンバス監督はCGではなく、巧みなカメラワークと小道具を使った特殊効果で演出しました。
ハリー役のダニエル・ラドクリフがカートを押して駆け込んでくると、彼の背後にすばやくレンガの壁の小道具を差し込み、すぐにカメラの向きを変えることで、まるでハリーが壁を通り抜けて、目の前にホグワーツ特急が現れたかのような映像を撮影したのです。
「九番と十番の間の柵(さく)に向かってまっすぐに歩けばいいの・・・怖かったら少し走るといいわ」
― J.K.ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』(松岡佑子訳/静山社)
ホグワーツ特急

©︎魔法倶楽部
列車のホームで圧倒的な存在感を放つ、深紅の蒸気機関車「ホグワーツ特急」。
この機関車のモデルとなったのは、1937年製のイギリスの蒸気機関車「GWR 4900形 オルトンホール5972」です。映画スタッフはこの歴史ある車両をウエストコースト鉄道から借り受け、「ハリー・ポッター」シリーズのシンボルとなるホグワーツ特急に仕立てました。

©︎魔法倶楽部
スタジオツアー東京に展示されている機関車は、撮影で使われた実物(ロンドンのスタジオツアーに展示中)と全く同じ型と仕様で、細部に至るまで精巧に再現されています。
客車の内部セット

©︎魔法倶楽部
9と¾番線のシーンの多くは実在のキングス・クロス駅で撮影されました。
一方、映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でハリーたちがディメンターに襲われた客車内のシーンや、映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』のラストシーンは、すべてスタジオに組まれた特別なセットで撮影されました。
客車内のシーンでは、駅のホームや特別な列車用のインテリア内のセットが組まれ、車窓の外は「グリーンバック」で覆われました。
そのため、俳優たちは窓の外に広がるスコットランドの景色や、襲い来るディメンターの姿を想像しながら演技をしていたのです。
スタジオツアー東京では、様々な客車内のシーンを見学することができます。

©︎魔法倶楽部
ファンタスティック・ビースト|ベルリン行きの列車

©︎魔法倶楽部
ここには、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』に登場した、ドイツのベルリンへ向かう列車も展示されています。
その内装には、美術監督スチュアート・クレイグの強いこだわりがありました。しかし、予算と時間の制約から、高価な木材「鳥眼杢(バーズアイ・メイプル)」を一から使うことは困難でした。
そこで装飾チームは、本物の木材サンプルをスキャンして厚紙に印刷し、ニスを塗って偽の木目パネルを作成。その出来栄えは、クレイグ本人も見分けがつかないほど完璧で、彼の承認を得たという逸話が残っています。
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