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スカウラー

1. スカウラーとは

スカウラー(Scourers)とは、17世紀の北米において、魔法界の法執行機関が未整備だった空白期間に台頭した、冷酷な魔法使いの傭兵集団のことです

当初は犯罪者を追うタスクフォースとして結成されましたが、次第に腐敗し、自分たちの利益や権力欲のために暴走するようになりました 。彼らは多国籍な魔法使いで構成されており、北米魔法界における「最も危険な問題」として恐れられました

2. スカウラーの悪行と腐敗

スカウラーたちは、当初こそ犯罪者を捕らえるために結成された集団でしたが、その実態は次第に凄惨なものへと変貌していきました。

彼らは金銭のためであれば、周知の犯罪者だけでなく、価値があると判断した人物なら誰でも標的にして狩りを行いました。その腐敗は深刻で、同胞であるはずの魔法使いを人身売買の対象としたり、自らの権力を誇示するために流血や拷問に耽ったりする者まで現れたのです。

さらには、報酬を吊り上げるために無実のノー・マジ(非魔法族)を魔法使いであると偽り、疑心暗鬼に陥っていた非魔法族のコミュニティに引き渡すといった卑劣な行為も繰り返されました。

3. セイラム魔女裁判への関与

1692年から1693年にかけて起きた悲劇的なセイラム魔女裁判にも、スカウラーが深く関わっていたことが判明しています

当時の裁判官の中には、少なくとも2人の正体が判明しているスカウラーが紛れ込んでおり、彼らは正義のためではなく、アメリカで募らせていた個人的な怨恨を晴らすために裁判の場を利用しました。その結果、処刑された人々の中には、罪とは無関係な本物の魔法使いだけでなく、集団ヒステリーに巻き込まれただけの全く無実なノー・マジも含まれることとなったのです。

4. MACUSAの設立とスカウラーの終焉

この惨劇をきっかけとして1693年に設立されたのが、アメリカ合衆国魔法議会(MACUSA)です。

MACUSAが真っ先に取り組んだのは同胞を裏切ったスカウラーたちの処罰であり、殺人や人身売買、拷問といった残虐な罪を犯した者たちは次々と有罪判決を受け、処刑されました。

5. スカウラーの逃亡と現代に続く「負の遺産」

しかし、全てのスカウラーが裁かれたわけではありません。国際指名手配から逃れた一部の凶悪な者たちは、ノー・マジの社会に溶け込むことで永久に姿を消しました。彼らは自身の正体を隠匿し続けるために、魔法の力を持つ子供が生まれないよう血筋から魔法を「淘汰」し、ノー・マジとして生きる道を選びました。そして魔法界に追放された恨みから、子孫たちへ「魔法は実在し、魔法使いは見つけ次第根絶すべき邪悪な存在である」という執念深い憎悪を教え込んだのです。

魔法界に対する深い不信感と憎悪は世代を超えて受け継がれました。

現代のアメリカにおいて、ノー・マジが他の地域に比べて魔法の存在に敏感で、欺くのが難しいとされている背景には、これらスカウラーの子孫による長年の反魔法活動や思想が色濃く反映されていると言えます。

悲劇が生んだ「ラパポート法」の成立

スカウラーによる裏切りと復讐心は、アメリカ魔法界に深いトラウマを植え付けました。しかし、魔法族とノー・マジの間に生じた火種は、これで終わりではありませんでした。

18世紀、ある魔法使いの軽率な行動が、再び魔法界全体を揺るがす深刻な事態を招きます。その結果として制定されたのが、ノー・マジとの一切の交流を禁じるという厳格な隔離法、通称「ラパポート法」です。なぜMACUSAは、これほどまでに極端な決断を下さねばならなかったのか。そこには、スカウラーの子孫たちの影と、もう一つの大きな裏切りが隠されていました。

スカウラーの影

1790年、MACUSAの財務官を父に持つドーカス・トゥエルブトゥリーズは、バーソロミュー・ベアボーンという魅力的なノー・マジの男に恋をします。しかし、バーソロミューは普通の人間ではありませんでした。彼はかつてMACUSAによって処刑されたスカウラーの子孫であり、先祖から受け継いだ「魔法使いを根絶すべき」という狂信的な信念を胸に秘めていたのです。

何も知らないドーカスは、彼への愛を証明しようとして、魔法の存在を明かすだけでなく、MACUSAの秘密の本拠地の住所や、国際秘密保持法を維持するための魔法的手段、さらには杖の持ち主を特定できる「杖登録証」の存在など、魔法界の機密事項を全て話してしまいました

裏切りと魔法界の露呈

情報を手に入れたバーソロミューは、本性を現します。彼はドーカスから盗み出した杖を振り回しながら、近隣のノー・マジたちを集めて魔法の危険性を説き、さらには新聞社や政府にまで情報を拡散して、魔法使いを狩るための私設軍隊を組織しようと画策しました。

彼は魔法使いと誤認して無実のノー・マジを銃撃したことで、ノー・マジ政府からも狂信者の妄言として扱われ逮捕・投獄されるという、予期せぬ形で表向きの事態は収束しました。しかし、MACUSAが受けたダメージは回復不能なほどに深刻でした。

ドーカスの軽率な行動によって、アメリカ全土の魔法使いがかつてないほどの危険に晒された事実は、魔法界に癒えない傷跡を残したのです。

隔離の時代の幕開け

この大失態を受け、当時のMACUSA議長エミリー・ラパポートは、アメリカ魔法界の安全を守るための最終手段として「ラパポート法」を制定しました。この法律は、魔法使いとノー・マジの間に「万里の長城」を築くような、非常に厳格なものでした。

  • 完全な交流禁止: 魔法使いがノー・マジと親交を持つこと、ましてや結婚することは法律で厳しく禁じられました。

  • 社会的な隔離: 魔法使いは日常生活においてノー・マジと接触を最小限に抑え、自給自足的なコミュニティを形成することを強固に義務付けられました。

スカウラーの末裔による執拗な復讐心と、一人の魔女の盲目的な愛。これらが複雑に絡み合った結果、アメリカ魔法界は世界でも類を見ない「完全隔離の時代」へと突き進むことになったのです。この「ラパポート法」の重い影は、20世紀後半までアメリカの魔法使いの生活を規定し続けることになります。

まとめ

スカウラーは、魔法界を恐怖に陥れただけでなく、その後のアメリカ魔法界の在り方を決定づけた存在です。彼らが同胞を裏切り、セイラム魔女裁判という悲劇に関与したことは、魔法界における法整備とMACUSAの設立を加速させることとなりました

しかし、処刑を逃れたスカウラーたちがノー・マジの社会へ潜伏し、世代を超えて「魔法への憎悪」を語り継いだという事実は、アメリカ特有の深刻な火種として残り続けました。この負の遺産は、18世紀に起きたドーカス・トゥエルブトゥリーズの悲劇を生み、結果としてアメリカ独自の厳格な隔離法「ラパポート法」を生む遠因となったのです

スカウラーの歴史を理解することは、なぜアメリカの魔法使いがノー・マジに対してこれほどまでに警戒心を持ち、独自の統治体制を築かなければならなかったのかを知ることに他なりません。彼らが残した爪痕は、現代の北米魔法社会の根底に今も深く刻まれています。

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