コラム

映画版でカットされた驚きの設定10選 Part 2 ─ 『賢者の石』もう一つの試練とは

世界中で愛される映画『ハリー・ポッター』シリーズだが、数千ページに及ぶ原作小説から映画化にあたって削ぎ落とされた魔法界のディテールが数多く存在する。

今回はファン必見の「映画では描かれなかった設定」を徹底解説する。

『賢者の石』もう一つの試練

映画第1作のクライマックス、罠の扉を抜けた先でハリーたちが挑んだ数々の難関。映画ではチェスなどが印象的でしたが、原作ではさらに重要な試練が存在しました

それは、ハーマイオニーがその知性を遺憾なく発揮したスネイプによる「薬の論理パズル」です

テーブルに並んだ7つの瓶から、論理的な推理だけで「前へ進む薬」と「後ろへ戻る薬」を見つけ出すというもの。間違えれば命を落とす毒薬やただのイラクサ酒が含まれる中で、彼女は瞬時に正解を導き出し、ハリーを最終的な部屋へと送り出しました

ペチュニア伯母さんに届いた謎の「吠えメール」

『不死鳥の騎士団』の序盤、吸魂鬼(ディメンター)に襲われたハリーとダドリーが帰宅した後の展開も、原作ではより複雑な背景が含まれています。

怒り狂ったバーノンおじさんがハリーを家から追い出そうとしたその時、ペチュニア伯母さん宛てに一通の「吠えメール」が届きます。キッチンに響き渡ったのは「私の最後のあれを思い出せ、ペチュニア」という恐ろしい声でした。それを聞いた彼女は、今にも気を失わんばかりに椅子に崩れ落ちます。

困惑するバーノンを前に、彼女は震えながら「その子はここに置かなければならないわ。追い出せば近所の噂になる」と、それまでの態度を一変させてハリーの滞留を認めました。

この「私の最後のあれを思い出せ」という言葉の真意は、後の物語でダンブルドアと彼女が交わした誓約に関わることが明かされますが、映画版ではこの緊迫したやり取り自体がカットされています。

ポルターガイストの「ピーブズ」による死喰い人への奇襲

映画シリーズを通して一度も登場しなかったキャラクターの中で、最も惜しまれているのがポルターガイストのピーブズです。

原作ではホグワーツ城中を混乱に陥れるトラブルメーカーですが、最終決戦では一転して「戦力」として活躍。 死喰い人の頭上にスナガルフの苗を次々と投げつけ、のたうつ緑色の芋虫のような苗で敵の頭を飲み込ませるという、彼らしいトリッキーな戦術で城を守るために奮闘しました。

悪戯の天才、フレッドとジョージの「伝説のホグワーツ脱出劇」

映画『不死鳥の騎士団』でも印象的だった双子の退学シーンですが、原作ではより反抗的かつ壮快に描かれています。

アンブリッジの圧政に対し、二人は「自分たちはもう全日制の教育を受けるには成長しすぎた」と宣言。 没収されていた自らの「ほうき」を呼び寄せ、アンブリッジを正面から挑発して城を去る一連のやり取りは、彼らの不屈の精神と新しい門出を象徴する、全シリーズ屈指のカタルシス溢れる名場面です。

ダーズリー家とウィーズリー家、最悪の初対面

『炎のゴブレット』の冒頭、クィディッチ・ワールドカップへ向かう前、ウィーズリー一家がハリーを迎えにプリベット通りを訪れます。

魔法使いとマグルの「最悪の出会い」は爆笑必至。魔法で暖炉を粉砕して現れたアーサー・ウィーズリーや、フレッドが「うっかり」落とした魔法のトローチをダドリーが食べてしまい、舌が巨大化する騒動など、映画では見られなかったダーズリー家への最高の「報復」シーンが満載です。

魔法界とマグル界の首脳会談 ─ 秘密を共有する「マグル首相」の存在

魔法界とマグル(人間)の世界は、政府や学校、病院に至るまで完全に分離されていますが、実は人間側の最高権力者はその存在を知らされていました。『謎のプリンス』の冒頭、マグルの首相官邸にある魔法の肖像画を通じて、魔法大臣コーネリウス・ファッジが面会を求めます。

首相の許可を得て、ファッジは煙突飛行粉を使って首相のオフィスへ到着。ヴォルデモートの復活という衝撃的な警告を告げるとともに、後任の魔法大臣ルファス・スクリムジョールを紹介します。

映画では描かれなかったこの「政府間会談」のエピソードは、魔法界の危機が人間界にまで波及していることを象徴する、リアリティ溢れる名シーンです。

幻の「ほとんど首無しニック」絶命日パーティー

映画『秘密の部屋』でカットされた最もユニークなエピソードの一つが、ニックの死後500年を祝う「絶命日パーティー」です。

ハリー、ロン、ハーマイオニーが招待されたその会場には、腐った食べ物が並べられ、黒板を爪で引っ掻くような不快な音楽が流れるという、ゴーストならではの陰鬱かつ奇妙な宴が繰り広げられていました。

この異様な光景は、魔法界における「生と死」の境界をユーモラスに描く、原作ならではの魅力的なディテールです。

屋敷しもべ妖精ウィンキーの悲劇

映画ではドビーの活躍が目立ちますが、原作にはもう一人、重要な役割を果たす屋敷しもべ妖精「ウィンキー」が登場します。

彼女はクラウチ家に仕えていましたが、ある事件をきっかけに解雇され、ホグワーツの厨房で働くことになります。常に泣き崩れ、バタービールに溺れる彼女の姿は、魔法界における屋敷しもべ妖精の過酷な社会的地位や、ドビーがいかに例外的な存在であったかを際立たせています。

彼女の存在は『炎のゴブレット』の核心的なミステリーとも密接に関わっており、映画版で彼女がカットされたことは、原作ファンにとって非常に大きな変更点の一つとして語り継がれています。

「初キス」の舞台は秘密の部屋 ─ 二人らしい愛の誓い

映画『死の秘宝 PART2』での情熱的なキスシーンも印象的ですが、原作での二人の初キスはより「彼ららしい」文脈で描かれます。

最終決戦の最中、ロンが「戦いの中でも屋敷しもべ妖精たちを避難させるべきだ」と、かつてハーマイオニーが熱心に活動していた「S.P.E.W.」の理念を尊重する発言をしたことがきっかけです。 自分の信念を最も理解してくれた瞬間に感極まったハーマイオニーがロンに飛びつき、キスを交わします。

緊迫した戦場、そして「秘密の部屋」という象徴的な場所で、互いの精神的な成長を認め合った末のこのキスは、ファンにとって屈指の名シーンとなっています。

映画を凌駕する規模の「天文台の塔の戦い」

『謎のプリンス』のクライマックス、ダンブルドアの死が描かれるシーンですが、原作ではより大規模な「戦争」が勃発していました。

映画では小規模な小競り合いに留まりましたが、小説ではホグワーツの教授陣、不死鳥の騎士団、そしてダンブルドア軍団が集結し、姿をくらまし棚から侵入した死喰い人たちと激しい防衛戦を展開。

この戦いの中で、ビル・ウィーズリーが人狼グレイバックに襲われ、一生消えない傷を負うという、その後の物語にも繋がる重要な悲劇が描かれています。

Source:25 things in the Harry Potter books that aren't in the films: Part two(2023/8/16)

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