コラム

映画版でカットされた驚きの設定10選 Part 1 ─ 原作ファンだけが知る「ヴォルデモートの悲劇」が明らかに

世界中で愛される映画『ハリー・ポッター』シリーズだが、数千ページに及ぶ原作小説から映画化にあたって削ぎ落とされた魔法界のディテールが数多く存在する。 今回はファン必見の「映画では描かれなかった設定」を徹底解説する。

ウィーズリー兄弟の「出資者」は誰だったのか?

© 2005 Warner Bros. Ent

映画版では唐突に開店したように見えるジョージとフレッドの悪戯専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ(WWW)」。

貧しいウィーズリー家に開店資金があるはずもないが、原作ではその裏に「秘密の恩人」が存在しました。 それは、三大魔法学校対抗試合の優勝賞金1,000ガリオンを、自分には必要ないと二人に譲り渡したハリー・ポッター本人でした。

「ロンに新しい礼装用ローブを買ってやること」を条件にしたハリーの粋な計らいは、映画では描かれなかったファン必見の絆と言えるでしょう。

「魔力を持たない者」と「屋敷しもべ妖精」

「スクイブ(魔法族の家に生まれながら魔法が使えない人々)」の概念や、ドビー以外の屋敷しもべ妖精ウィンキーの存在も外せない。

原作では、ホグワーツの管理人フィルチが抱えるコンプレックスの背景として、この「スクイブ」という設定が色濃く反映されている。彼は魔法を使えない自分を呪いながら、魔法学校を維持し続けていたのです。

ハーマイオニーが情熱を注いだ「S.P.E.W.」の活動

ハーマイオニーの正義感と行動力を象徴するのが、屋敷しもべ妖精の権利を守るための団体「S.P.E.W.(屋敷しもべ妖精福祉振興協会)」の創設です。

映画版ではドビーの解放に焦点が当たりましたが、原作の彼女はさらに踏み込み、無理やり編んだニット帽を談話室に隠して妖精たちを「解放」しようとするなど、過激とも言える運動を展開。 彼女の純粋な信念と、周囲の魔法使い(さらには妖精自身)との温度差が描かれる重要なサブプロットでした。

悲劇と再会が交差する「聖マンゴ魔法疾患傷害病院」

原作における魔法界のリアリティを象徴するのが、魔法的な病や怪我を扱う「聖マンゴ魔法疾患傷害病院」の描写です。

ここでは、『秘密の部屋』で記憶を失ったギルデロイ・ロックハート教授との再会といったユーモラスな場面だけでなく、非常に痛切なシーンも描かれます。 それが、ベラトリックス・レストレンジらによる拷問によって精神を病んだネビルの両親との対面です。

ネビルが母親からキャンディの包み紙を受け取り、それを大切にポケットにしまう姿は、彼がいかに壮絶な背景を持ち、勇気ある戦士へと成長したかを裏付ける、シリーズ屈指の涙を誘うエピソードとなっています。

リタ・スキーターの正体と「未登録のアニメーガス」

なぜリタ・スキーターは常に信じられないようなスクープを入手できたのか?

原作では、彼女が「カブトムシ」に変身できる未登録のアニメーガスであることが判明します。 密かにターゲットの会話を盗み聞きしていたという事実は、映画版を観ているだけでは辿り着けない彼女の狡猾な一面を象徴しています。

「もう一人の選ばれし者」ネビル・ロングボトムの予言

物語の根幹に関わる大きな要素が、ヴォルデモートを倒す「選ばれし者」に関する予言です。

実はこの条件に当てはまる子供はもう一人いました。それがネビル・ロングボトムです。 ヴォルデモートがハリーを「自分と同等の者」として選ばなければ、ネビルが救世主の宿命を背負っていたかもしれないという設定は、物語の運命論をより深く考察させるものとなっています。

ロンとハーマイオニーが歩んだ「監督生」としての自覚

映画版では省略されましたが、ホグワーツ5年生の際、ロンとハーマイオニーは「監督生」に任命されています。

常にハリーの影に隠れがちだったロンにとって、この任命は大きな自信となり、同時にハリーとの微妙な関係性に変化をもたらす重要なエピソードでした。

二人は監督生専用のバスルームを使用したり、下級生を指導したりといった公務に励みます。 この経験を通じて、二人は単なるハリーの親友という立場を超え、魔法学校の一員としての責任感やリーダーシップを育んでいきました。 こうした学校生活のディテールが積み重なることで、二人の成長と絆の深化がより多層的に描かれていたのです。

「忍びの地図」に刻まれた親世代の友情と裏切りの全貌

映画版でもおなじみの「忍びの地図」ですが、その作成者であるムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズの正体と、彼らがなぜ地図を作ったのかという背景は原作で詳細に語られます。

リーマス・ルーピンの狼人間としての苦悩を分かち合うため、ジェームズ、シリウス、ピーターの三人が独学でアニマガス(動物もどき)になった過程は、彼らの友情の深さを証明するものです。しかし、その絆が後にピーターの裏切りによって崩壊し、ハリーの運命を決定づけたという悲劇的なコントラストは、地図を見るたびに物語に重みを与えます。

地図は単なる便利な魔法道具ではなく、失われた黄金時代の遺物だったのです。

闇の王を形作ったヴォルデモートの忌まわしき家系

ヴォルデモートがいかにして「闇の王」となったのか。

原作『謎のプリンス』では、彼の母メローピー・ゴーントやその父モーフィンら、没落した純血の家系「ゴーント家」のダークな過去が掘り下げられます。 魔法薬(愛の妙薬)を使ってマグルを操り、愛のない結婚から生まれたトム・リドル。 彼がなぜ愛を理解できず、血統に異常なまでに固執したのかという背景は、この歪んだ家族史の中にすべて隠されています。

映画では断片的にしか描かれなかったこれらの記憶は、ヴォルデモートを単なる悪役ではなく、歴史の犠牲者としても描く深みのあるエピソードです。

ダンブルドアのダーズリー家訪問

『謎のプリンス』の冒頭、アルバス・ダンブルドアがプリベット通り4番地を訪れるシーンは、原作屈指の緊迫感を放っています。

校長自らがハリーを迎えに行く際、ダーズリー家の人々に対して放つ言葉の数々は、彼らが長年ハリーに対して行ってきた虐待に近い仕打ちに対する、知性的かつ冷徹な「断罪」です。魔法でティーカップを家族の頭にコツコツと当てさせたり、彼らの無礼さを静かにたしなめたりするダンブルドアの姿は、読者に大きなカタルシスを与えました。

映画では見られなかったこの対峙は、ハリーを守り続けてきたダンブルドアの深い愛情と、彼の持つ底知れない威圧感を見事に象徴しています。

Source:25 things in the Harry Potter books that aren't in the films: Part one(2023/7/23)

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