前作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のラストで衝撃的な登場を魅せたグリンデルバルド。グリンデルバルドといえば、J.K.ローリングの魔法ワールドの中でも最凶の魔法使いの一人です。公開が迫っている最新作『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』では、予告編からもお分かりの通り、前作よりもメインのキャラクターとして活躍が予想されています。そんなグリンデルバルドを演じたジョニー・デップ、『ファンタビ』の出演に関して、米エンターテイメント誌の電話取材で初めて口を開きました。
一作目を撮る前に、ハリー・ポッターファンでしたか?
娘たちが小さかった頃、本を読んだし映画も一緒に観た。本は見事だった。J.K.は新しい世界とルールを一から作るという、小説家としてとても難しいことを成している。そして、本と映画の一作目ではそれを一挙に受け取ることになる。たくさんの情報が詰め込まれていて、驚かされた。そして映画には多くの友人が出演している。ハグリッド役のロビーや、バーノンを演じた故リチャード。だから、作品については詳しかったし感動したよ。
ローリングとは初めに会いましたか?
スカイプで話したよ。かなり長い会話だった。衣装のフィッティングのためロンドンに行った際に会う機会があった。最初の一秒から本当に楽しい体験だった。彼女の描くキャラクターを演じ、そこに役者として何かを吹き込むことは非常に難しかったが、面白かったよ。
グリンデルバルドはどんな人物だと感じましたか?
彼は魅力的かつ複雑なキャラクターだと思う。最初と最後が文章の途中で始まるジェイムズ・ジョイスの小説『フィネガンズ・ウェイク』の人間版のようだと感じたのが最初の印象だ。
一作目ではコリンファレルがグリンデルバルドを演じましたが、その演技による影響は受けましたか?
そうとも言えるし、そうとも言えない。グリンデルバルドはグレイブスに化けていたが、コリンのやるべきことはグレイブスというキャラクターを描くことだった。コリンの(演技の中で)沈黙の瞬間が多いほど、それこそが私がグリンデルバルドを少し感じる瞬間だった。
あなたは自らが演じるキャラクターを描く工程に参加することで知られていますが、一作目ではグリンデルバルドの登場シーンは短い場面だけでした。その初登場について、何か助言等はしましたか?
頭の中に彼のイメージ像があった。J.Kとイェーツの素晴らしいところは、非常に私を信頼してくれている点だ。彼女は私のアイディアを聞いて「あなたがグリンデルバルドと何をしてくれるのか、待ちきれないわ」と言ってくれたんだ。
グリンデルバルドの目については、何か意図があるのですか?それとも、ただ怖く見せるためだけですか?
グリンデルバルドは一人の人物以上の存在だと感じている。彼は一つの体で二人の人物を抱えているとすら思っている。オッドアイはもう片方の人物を表している。グリンデルバルドはその中間のような人物だ。
ドナルド・トランプの比喩だと考えているファンもいますが、そうなのですか?
トランプの比喩だとは全く思わない。グリンデルバルドには、無邪気さがあると思う。彼の夢は魔法界をより高い位にすることだが、それはファシズム的だ。そして、強くて危険な思想を持ってそれを実現できると夢見ている者ほど危険な者はない。しかし、どのキャラクターも意気揚々に「これから今日(こんにち)で考えられる最悪のことをして地獄のような悪者になる」なんて言わない。奇妙で魅力的なキャラクターだと考えているよ。
当時グリンデルバルドはダンブルドアのことをどう考えていると思いますか?
彼は待っているだけなんだ。避けることのできない決着を付ける場を楽しみにしているんだよ。おそらく昔からのたくさんの未練があって、そして彼らは強く結びついている。ダンブルドアとグリンデルバルドのように、誰かを愛してその感情が戦いの場に突入したり、個人的な感情が絡むととても危険なんだ。
ダンブルドアの嗜好について多くの議論が起こっていますが、どう思いますか?また、どのくらい描かれるべきだと考えますか?
観客がどう感じるのか、まずは余地を残しておくべきだと思う。時が来れば…ダンブルドアとの描写はより一層激しくなると思う。また、グリンデルバルドの中にはスキャマンダーへの嫉妬があると思う。彼はスキャマンダーのことをダンブルドアの弟子のように感じている。それはグリンデルバルドがスキャマンダーを倒したいと思う理由として十分だろう。
監督、スタジオ、ローリングがあなたを支持する声明を発表しましたが、それについてどう考えますか?
正直に言うと、いろんな人からの様々な意見を処理しなければいけなかったJ.K.に申し訳なく感じていた。しかし、ようやくちゃんとした議論がされている。私が不当に告発されたというのが事実だ。だから濡れ衣の報道を繰り返すthe Sun誌を名誉毀損で訴えている。J.K.は証拠を見ているので、私が無実であることを知っている。それが彼女が公に私を支持してくれている理由だよ。彼女はそういった事を軽く考えない。事実を知らなかったら、こうやって立ち上がってくれないよ。だから本当のことなんだ。
他にファンに言い残したことは?
いくつかある。役者にとって大切なのは誠実さだ。作者の描きたい事を守り、監督のヴィジョンに忠実であることが私の仕事だ。だが、それと同時に自分のヴィジョンにも誠実でありたい。車の鍵を渡されるような、重大な責任だ。J.K.やイェーツのみならず、映画を観に行く、彼女が創った素晴らしい世界に人生を捧げてきたファンにも誠実でありたいと強く思う。抱えている責任を感じながら、全力で役を演じることに取り組んだ。ファンがこれまで共にしてきた世界観に敬意を払いつつ、想像もしていなかった世界に観客を連れて行けることを嬉しく思う。私が感銘を受けたことだが、ハリポタのファンはまるで学者のように熱烈で、あの世界を知り尽くしている。そんな彼らに、今まで見たことがないものを届けられたらなと願うよ。
Source: Johnny Depp breaks silence on Fantastic Beasts sequel role