『ファンタスティック・ビースト』シリーズは当初5部作として構想されていましたが、2022年公開の第3作『ダンブルドアの秘密』以降、新作の発表はありません。
この記事では、監督やキャストの最新インタビューをもとに、シリーズ続編の可能性や打ち切り説の真偽、当初の構想までを徹底解説します。
Contents
【時系列まとめ】ファンタビは打ち切り?5部作構想の歴史を時系列で解説
『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、J.K.ローリングが描く魔法界の新たな物語として期待を集め、最初の映画公開時には全5部作の構想が発表されました
しかし、続編の制作が停滞し、ファンからは「一体なぜ続編が作られないのか?」という疑問の声が上がっています。
これまでのシリーズの歩みを振り返りながら、なぜこの壮大な計画が途中で頓挫したのか、その原因を時系列で解説します。
興行的な失敗、キャストの交代、制作の混乱――シリーズの企画段階から公開、構想変更、現在の停止状態に至るまでを時系列でわかりやすくまとめています。
2013年9月|映画化企画が正式発表
ワーナー・ブラザースが『幻の動物とその生息地』をベースにした映画企画を発表。当初は3部作の予定であることが報じられました。
2016年10月|J.K.ローリングが「5部作構想」を発表
第1作の公開直前、J.K.ローリングが突然「全5部作になる」と明言。
ファンイベント「グローバル・ファンイベント」の壇上で、「物語を語るには3本では足りない」と発言し、5作品で完結する意図を明かします。
これにより、物語は1945年のグリンデルバルド vs ダンブルドア決戦まで描かれることが期待されるようになりました。
2016年11月|第1作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』公開
世界興収約8億1,400万ドルと大ヒット。好調なスタートを切り、5部作構想への期待も高まります。

2018年11月|第2作『黒い魔法使いの誕生』公開
批評面で評価が低く、物語の複雑さや構成への不満が多く寄せられました。興収も前作から1億6,000万ドル以上減少し、シリーズの先行きに不安が見え始めます。

2020年|制作が停滞、キャスト変更など混乱も
2020年は、『ファンタスティック・ビースト』シリーズにとって大きな混乱の年となりました。
新型コロナウイルスの世界的大流行により、映画業界全体が撮影延期やスケジュールの見直しを迫られるなか、第3作の撮影も当初の予定から大幅に遅延することとなりました。さらに、物語の中心人物の一人であるグリンデルバルド役を演じていたジョニー・デップが、私生活での裁判問題の影響によりワーナー・ブラザースから降板を求められ、シリーズから離脱するという衝撃的な展開が起こります。
代役として起用されたのは、名優マッツ・ミケルセン。この発表は注目を集めたものの、主要キャストの交代はシリーズのトーンやファンの期待にも大きな影響を与えました。また、脚本面でも改善が求められており、第1作から脚本を単独で担当していたJ.K.ローリングに加え、『ハリー・ポッター』シリーズのベテラン脚本家スティーブ・クローブスが共同執筆者として復帰することになります。
このように、キャスト・スタッフ・制作体制すべてにおいて再調整が必要となり、シリーズの制作は一時的に“足踏み”する状態に入っていきました。結果的に、この年はファンタビシリーズの今後にとって大きな転機となったのです。
2022年4月|第3作『ダンブルドアの秘密』公開
興収はシリーズ最低の約4億ドルに留まり、制作費・マーケティング費を考慮すると赤字の可能性も取り沙汰されました。公開以降、第4作以降の制作は完全にストップします。

2023年10月|監督が「話は止まっている」と明言
デヴィッド・イェーツ監督がポッドキャスト番組「Inside Total Film」にて、「(第4作について)話は止まったまま。今は何も動いていない」と語り、"実質的な“シリーズ凍結状態”を初めて明言。
また、「5部作構想はJ.K.ローリングがイベントで突然発表したもので、自分たちもそのとき知った」と語り、スタジオ内でも構想が十分に共有されていなかったことが明らかになります。
現在(2025年時点)|実質的な“凍結状態”
第4作以降に関する公式発表は一切なく、キャスト陣も「聞かされていない」とインタビューで語るなど、制作は完全に凍結された状態。
一方で、ハリー・ポッター本編のドラマ化が本格始動し、ワーナー・ブラザースのエネルギーはそちらに移行しています。
シリーズは5部作の予定だった!──当初の構想を振り返る
『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、もともと3部作として企画されていました。しかし、2016年にワーナー・ブラザースとJ.K.ローリングが発表した公式声明で、全5部作に拡大されることが明かされ、ファンの間で大きな期待が高まりました。
J.K.ローリング自身がX(旧Twitter)で「物語を語るには3作では足りない。全部で5本になる」と明言したことで、新たな魔法ワールドの長期展開が確定したかのように思われていたのです。
各作品が描くべきだったテーマ
第1作『魔法使いの旅』(2016年)
ニュート・スキャマンダーの紹介と魔法動物たちの世界観を描く導入編。ニューヨークが舞台。
第2作『黒い魔法使いの誕生』(2018年)
グリンデルバルドの台頭と彼の思想が明らかに。ヨーロッパ(特にパリ)に舞台が広がる。
第3作『ダンブルドアの秘密』(2022年)
アルバス・ダンブルドアの過去、アバーフォースとの関係、血の誓いなど、個人史に焦点が当たる。
この3作までで、主要なキャラクターの動機と関係性が徐々に明かされ、第4作・第5作ではついに“歴史的クライマックス”が描かれるはずでした。
第4作・第5作で描かれるはずだったこと
J.K.ローリングの構想では、残る2作で以下の要素が描かれると考えられていました。
グリンデルバルド vs ダンブルドアの最終決戦(1945年)
魔法界の歴史でもっとも有名な魔法使い同士の戦い。勝者が“ニワトコの杖”の所有者となる重要なエピソード。
ハリー・ポッターシリーズとの橋渡し
原作ファンにとって馴染み深いホグワーツ魔法学校や、既存のキャラクターの祖先たちの登場など、ハリー・ポッターシリーズとの橋渡し。
第二次世界大戦とのリンク
現実世界と魔法界の戦争がどのように重なっていたか。人間界の戦争が魔法界にも波及していた設定の回収が期待されていた。
続編は制作されるのか?監督・キャストの発言まとめ
デヴィッド・イェーツ監督「シリーズは“休止状態”」
『ファンタスティック・ビースト』シリーズの監督を務めるデヴィッド・イェーツは、2023年10月にポッドキャスト番組「Inside Total Film」にて、シリーズの制作が現在「休止状態」であり、今後について 「踏み込んだ話は今のところない」と明らかにしました。
イェーツ監督は、2022年に公開された第3作『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』の制作後、シリーズの今後についてJ.K.ローリング氏やプロデューサーのデヴィッド・ヘイマン氏、ワーナー・ブラザースと具体的な話し合いを行っていないと述べています。
主要キャストが語った続編の可能性「新作の話は聞いていない」
主要キャストの発言から、現時点で『ファンタスティック・ビースト』シリーズの続編制作は進行しておらず、今後の計画も不透明であることが伺えます。
エディ・レッドメイン(ニュート役)
シリーズの主人公ニュートを演じたエディ・レッドメインは、Comicbook.comのインタビューで続編の制作状況について
僕が知る限りでは、これで終わり
と述べ、現時点で新作の計画が進行していないことを語っています。
ジュード・ロウ(ダンブルドア役)
ダンブルドアを演じたジュード・ロウは、2024年10月発売のVariety誌のインタビューで「保留中」だと語っています。
シリーズの今後については、
製作が中断しているのは知ってる。僕の考えでは、『ハリー・ポッター』のドラマ化が決まったから、おそらくエネルギーをそっちに注いでると思う。
『ファンタスティック・ビースト』については、新作の兆しも見えないよ。
と語り、続編の見通しが立っていないことを明かしました。
キャサリン・ウォーターストン(ティナ役)
ティナ役のキャサリン・ウォーターストンは、英NMEのインタビューで「残りの2作品は作られないだろう」と明らかにしました。
最後の2作は、おそらく作られないと思います。単なる直感ではありますが。
私は何も知らないんです。何か進捗があれば、私に連絡があるのは最後の方だと思います。この規模の映画だと、演者たちに進捗が逐一報告されるわけではないですからね。
と語り、制作の動きがないことを伝えています。
なぜ続編が作られないのか?3つの要因
『ファンタスティック・ビースト』シリーズの第4作以降が制作されていない理由については、公式に「打ち切り」とは発表されていません。しかし、複数の関係者の発言や業界の動向を踏まえると、次の3つの要因が大きく影響していると考えられます。
興行収入と評価の低下
シリーズ第1作(2016年公開)の世界興収は約8億1,400万ドルに達しましたが、第2作『黒い魔法使いの誕生』(2018年)は約6億5,400万ドル、第3作『ダンブルドアの秘密』(2022年)では約4億ドルと、作品を追うごとに大きく数字を落としています。
また、批評家・ファンからの評価も下降気味で、Rotten Tomatoesのスコアではシリーズ最低点(第2作が36%)を記録。特に第2作では、複雑なプロットやキャラクターの使い方が分かりづらいと批判されました。
商業的にも批評的にも苦戦が続いたことが、シリーズの継続を難しくした最大の要因といえます。
J.K.ローリングの発言による炎上
シリーズの脚本・世界観を手がけるJ.K.ローリングは、2020年前後からトランスジェンダーに関する一連の発言で炎上し、ハリーポッター関連のIP全体にも影響を及ぼしました。
この問題は俳優陣の間にも波紋を広げており、エディ・レッドメインやエマ・ワトソン、ダニエル・ラドクリフが公に反対意見を表明するなど、ファンダムを分断する要因となりました。
ワーナーのような映画スタジオにとっては、「社会的リスクを抱えるIPへの投資判断」が難しくなったと見られています。
ワーナーの戦略転換|ドラマシリーズに注力
ワーナー・ブラザースは2023年以降、映像コンテンツの戦略を大きく見直しています。とりわけ注力しているのが、「ハリーポッター」シリーズの実写ドラマ化です。
このドラマは原作小説7巻を10年間かけて映像化するという大規模なもので、制作費・人材・マーケティングを集中するために、『ファンタスティック・ビースト』の続編が後回し、もしくは凍結されたと見る向きが強いです。
デヴィッド・イェーツ監督も2023年のインタビューで「スタジオやローリングとは続編について話していない」と発言しており、事実上“制作停止状態”であることを認めています。
まとめ|続編制作の可能性は極めて低い
『ファンタスティック・ビースト』シリーズの第4作・第5作について、現時点では制作中止の公式発表はないものの、主要キャストや監督の発言からも、実質的には“停止状態”にあるといえます。
全5作を予定していたシリーズは、興行不振や原作者の炎上など、複数の困難に直面しました。さらに、ワーナー・ブラザースの戦略転換によって、ハリー・ポッターの実写ドラマ化が優先される形となり、『ファンタビ』の位置づけは大きく後退しています。
ファンとしては残念な状況ですが、ワーナー・ブラザースが進める『ハリー・ポッター』ドラマシリーズに新たな期待を寄せることができるでしょう。
【参考】
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