「ハリー・ポッターと呪いの子」は、J.K.ローリングが手がけた原作完結から19年後の世界を描いた舞台作品です。
「映画はあるの?」「予習は必要?」「どんな話?」という疑問に、初心者でもわかりやすくお答えします。
本記事では、これから観る人がストーリーを何倍も楽しめるように、あらすじやキャラクター、予習ポイントをご紹介します。
Contents
『ハリー・ポッターと呪いの子』はどんな物語?
『ハリー・ポッターと呪いの子』は、J.K.ローリングが監修し、ジャック・ソーンが脚本を執筆した舞台劇で、物語はハリー・ポッターシリーズ完結後の19年後を描いています。
大人になったハリー・ポッターとその息子アルバス・セブルス・ポッターが中心となり、親子の葛藤や過去と向き合うストーリーが展開されます。
舞台の脚本は「戯曲本」として書籍化もされており、2016年に英語で、2017年に日本語で出版されました。
アルバスは、父親が成し遂げた偉業に対するプレッシャーに悩みながら成長していく姿が描かれ、物語の中で彼がどのように自らのアイデンティティを確立していくのかがテーマとなっています。
初演はロンドンのウエストエンドで行われ、イギリス最高峰であるローレンス・オリヴィエ賞では史上最多の9部門を獲得。その後ブロードウェイ公演も決定し、アメリカ最高の名誉であるトニー賞では、最優秀作品賞と最優秀演出家賞を含む6部門を獲得しました。

あらすじ
物語は、ハリーの次男アルバス・セブルス・ポッターがホグワーツ魔法学校に入学するところから始まります。
アルバスは父親の影響を重く感じ、自分自身の居場所を見失っていきます。彼は、ハリーのかつてのライバルであるドラコ・マルフォイの息子スコーピウスと友達になり、2人で“過去を変える”ために危険な魔法道具である「タイムターナー」を使います。
その結果、歴史が大きく歪み、世界は暗黒の未来へ…。2人は時間を正すため奔走し、親子の絆もまた試されていきます。
ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってから19年後、かつての暗闇の世を思わせる不穏な事件があいつぎ、人々を不安にさせていた。
魔法省で働くハリー・ポッターはいまや三人の子の父親。今年ホグワーツ魔法魔術学校に入学する次男のアルバスは、英雄の家に生まれた自分の運命にあらがうように、父親に反抗的な態度を取る。幼い頃に両親を亡くしたハリーは、父親としてうまくふるまえず、関係を修復できずにいた。そんな中、アルバスは魔法学校の入学式に向かうホグワーツ特急の車内で、偶然一人の少年と出会う。彼は、父ハリーと犬猿の仲であるドラコ・マルフォイの息子、スコーピウスだった!
二人の出会いが引き金となり、暗闇による支配が、加速していく…。
原作とのつながりは?続編?
『ハリー・ポッターと呪いの子』は、J.K.ローリング公認の“公式続編”と位置づけられています。
ただし、ローリング自身が脚本を書いたわけではなく、共同制作に携わった形です。そのため、「原作とは少しトーンが違う」「キャラが違って見える」という意見もあり、原作ファンの中には賛否両論が存在します。
映画化はされるの?
『ハリー・ポッターと呪いの子』は、現時点(2025年)では映画化されていません。
ただし、映画化の噂は何度もあり、ワーナー・ブラザースが映像展開を検討しているという報道も過去にありました。
今のところは、舞台での上演と戯曲本でしか物語を楽しむことはできません。
主な登場人物
ハリー・ポッター
ハリー・ポッターは、「ハリー・ポッター」シリーズの主人公で、魔法界では非常に有名な人物です。
彼は、生まれてすぐに両親を邪悪な魔法使い、ヴォルデモートに殺され、ただ一人で生き残りました。
彼の額にはヴォルデモートの呪いの跡が残っており、それが彼の魔法使いとしての特別な力の象徴です。「呪いの子」では、すでに大人になり、魔法省で働く父親になっています。
ハリーはジニー・ウィーズリーと結婚し、ジェームズ、アルバス、リリーという3人の子供の父親になりました。そして、魔法省の魔法法執行部の長官として働いています。
子育てに奮闘しながら、ハリーは今も闇の魔法使いの脅威と闘っています。しかし幼い頃に両親を失った悲しみと苦しみ、そしてつきまとうヴォルデモートの影は頭から離れません。
家族と友人を大切にする一人の大人になった今も、ハリーは闇に打ち勝つための正義感を忘れてはいないのです。
アルバス・セブルス・ポッター

photo credit Manuel Harlan
アルバス・セブルス・ポッターは、ハリー・ポッターとジニー・ウィーズリーの間に生まれた息子で、「呪いの子」の物語の中心人物です。
彼は、父親ハリーの名声や期待に苦しみながらも、自分の道を探し求めます。特に、魔法学校ホグワーツに入学した後、父親とは異なる形で魔法の世界に向き合い、周囲との関係に悩みます。
彼は、ハリーが成し遂げたことと同じように、大きな責任を背負うことになりますが、父親との関係を築いていく中で成長していきます。
ハリー・ポッターの次男アルバスは、ハリー・ポッターの息子であるプレッシャーに悩み、ホグワーツ魔法魔術学校でも周囲の期待に応えられません。予想していなかったスリザリンに入寮することになり、そこでドラコの息子であるスコーピウス・マルフォイと親友になります。
アルバスは頭の回転が速く勇敢ですが、時に危険を顧みずに無謀な行動をしてしまうハリーに似た部分があります。
彼は自分らしくなりたいと思う一方で、父親のことをもっと知りたいという気持ちから、父親に反抗的な態度をとってしまいます。
ハリーの師であるダンブルドアとスネイプから名前をとられたアルバスは、彼らに似たのか性格はやや心配性。
兄にジェームズ・シリウス・ポッター、妹にリリー・ルーナ・ポッターがいます。
兄に「スリザリンに組み分けされるんじゃないか」とからかわれ、本当に組み分けされたらどうしようという不安に駆られていたところ、実際にスリザリンに組み分けされますが、組み分け帽子によると「グリフィンドール、スリザリンのどちらの資質もある」ようでーー。
スコーピウス・マルフォイ

photo credit Manuel Harlan
スコーピウス・マルフォイは、ハリーの友人でありライバルだったドラコ・マルフォイの息子です。
彼もまた、父親との関係に悩む人物です。スコーピウスは、アルバスの親友であり、二人は一緒に冒険を繰り広げます。
彼の家系は、かつて魔法界で悪名高い存在でしたが、スコーピウス自身はその影響を避けようとし、優れた魔法使いになろうと努力します。
聡明で読書が好きなスコーピウスは、ホグワーツ魔法魔術学校での生活を待ち焦がれていますが、自分の出生に関わる噂を気にしています。
母親っ子だったため、父親の気を引こうとするあまり、自らを押し殺してしまうことがあります。献身的で勇敢な魔法使いであり、相当な楽観主義者で、熱くなりやすい性格です。スコーピウスは決して物事を諦めず、必要あらば自分の意見を主張することを恐れません。
外見は学生時代のドラコと瓜二つですが、性格や思想は異なります。
物語では、『ハリー・ポッター』シリーズでのロンのように、重苦しい雰囲気を緩和するポジション。「歴史オタク」という設定で、過去の出来事などを観客に解説する役割も担っています。
しかし天真爛漫なだけでなく、アルバスを笑わせたり励ましたり、時には現実をとらえる冷静さもあるキャラクターです。
ホグワーツやハリー・ポッターに憧れる姿には、マルフォイ家に生まれた孤独や、世間からの誤解を受けてきた疎外感、救いである母を亡くした憂いを感じさせます。劣等感や疎外感に苛まれるアルバスとはお互いに支えあい、親友になっていくのです。
ハーマイオニー・グレンジャー
ハーマイオニー・グレンジャーは、ハリーの親友であり、非常に賢い魔法使いです。
「呪いの子」では、魔法省の魔法大臣となり、社会に貢献する仕事をしています。彼女は、ハリーやロンと共に多くの冒険をしてきた仲間であり、物語では大人としての落ち着きと知識を活かし、周りをサポートします。
ハーマイオニーは魔法省魔法大臣であり、強きリーダーです。前任者が目を背けた問題にも積極的に向き合っています。
夫のロンとの間に長女・ローズと長男・ヒューゴを授かり、子供たちを心から愛しています。
ハリーとは今も良き友人であり、魔法省で共に働いています。よく口争いをしていた学生時代と変わらず、ロンとの夫婦生活はイライラが絶えませんが、お互いを想う気持ちは誰が見ても明らかです。
ロン・ウィーズリー
ロン・ウィーズリーは、ハリーの親友で、ハーマイオニーの夫でもあります。
彼は、温かくユーモアに富んだ人物で、シリーズ全体を通じてハリーを支えてきました。「呪いの子」では、家族を持ち、少しぽっちゃりした姿で登場しますが、相変わらずハリーの良き友人であり、彼を助けるために力を尽くします。
ロンは2人の子供を育てながら、悪戯専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」を経営しています。明るくお調子ものな性格は昔と変わらずです。
ハリーにとって心強い友人であり、ハーマイオニーにとっては信頼できる愛すべき夫であるロンは、若い頃と同様、ハリーと共に魔法界を守ろうとするのです。
ドラコ・マルフォイ
ドラコ・マルフォイは、ハリー・ポッターシリーズで登場するハリーの学校時代のライバルです。
彼は、裕福で特権的な家庭で育ち、かつてはハリーと敵対していましたが、「呪いの子」では、父親としての責任を果たし、息子スコーピウスを支える姿が描かれています。彼は、過去の行動に後悔し、スコーピウスを正しい道に導こうとしています。
ドラコは家族を大切にし、出生にまつわる噂が絶えない息子のスコーピウスを全力で守ろうとする良き父親です。
ハリーポッターを信じようとせず、彼のこれまでの功績を否定し、あからさまに魔法省の決定を批判して自分の考えを正当化しようとします。常に一糸乱れぬ服装をし、怒っているように見えますが、ハリーたちと同様に、彼は自分の家族を愛しているだけなのです。
ジニー・ポッター
ジニー・ポッター(旧姓ウィーズリー)は、ハリー・ポッターの妻で、ウィーズリー家の末っ子です。
「ハリー・ポッター」シリーズの初めは少し控えめな性格でしたが、非常に勇敢で、強い意志を持った人物です。
「呪いの子」では、家族を支える強い母親の役割を果たし、ハリーと共に子どもたちの成長を見守ります。ジニーは、母親としても依然として非常に強い意志を持ち、家族のために最善を尽くすのです。
ジニーはハリーと結婚し、日刊予言者新聞のスポーツ担当編集者として働いています。
ハリーを支える妻であると同時に、彼が自分の過去と向き合いながら、息子アルバスとの関係にもがく姿を見守り続けています。ハリーが眠れないほど悩んでいることを理解し、時には妻である自分にさえ心を閉ざしてしまうことを知っているのです。
日本で観られる?どこでやってるの?チケットは?
2022年に、東京・TBS赤坂ACTシアターで日本語版の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』が開幕しました(2025年現在もロングラン上演中)。
チケットは、公式サイトまたはプレイガイド(e+、チケットぴあ等)から購入可能で、先行抽選や当日券もあります。事前予約が必須な人気舞台なので、予定は早めにチェックするのがオススメです。
上演時間は?
目安は3時間40分(休憩込み)です。
オペラグラスの貸し出しはある?
劇場での貸し出しは行なっていないので、持参する必要があります。
座席表は?
出待ち・入り待ちについて
日本公演については、TBS赤坂ACTシアター付近や、その他の場所での出演者の入待ち・出待ちは全面的に禁止されています。
ロンドン公演、ニューヨーク公演については、スタッフによる誘導のもと出待ちでのサイン・写真対応を行なっています。
アクセス
東京メトロ 千代田線 「赤坂駅」3b出口より徒歩1分
東京メトロ 銀座線・丸の内線 「赤坂見附駅」10番出口より徒歩8分
東京メトロ 銀座線・南北線 「溜池山王駅」7番出口より徒歩7分
【初心者向け】最低限おさえておくと良い「予習ポイント3つ」
まず前提として、予習は“しておいた方が”楽しめますが、必須ではありません。
『ハリー・ポッターと呪いの子』は、物語としては完結済みの原作シリーズ(全7巻)の「その後」を描くスピンオフ的続編です。
そのため、原作を読んでいない or 映画を観ていない方でも、ストーリー自体は理解可能ですが、予習をしておくと数倍楽しめます。
時間がない方のため、最低限知っておきたいポイントを3つご紹介します。

①ハリー・ポッターの基本設定
ハリー・ポッターは、幼い頃に親を亡くし、11歳で魔法使いとしてホグワーツ魔法魔術学校に入学。
学生時代は「選ばれし者」として魔法界を恐怖に陥れた闇の魔法使いヴォルデモートと戦い、仲間とともにその脅威を打ち破った“伝説的な存在”です。
『呪いの子』では、そのハリーが40代の父親となって登場し、魔法省の職員として多忙な毎日を送りながら、息子との関係に悩んでいます。
彼の過去を知っておくことで、「英雄」だったハリーがなぜ家族に苦しむのか、その背景に深く共感できるようになります。
② 主な登場人物の“親世代”
『呪いの子』では、ハリー以外にも旧シリーズの人気キャラが大人になって登場します。
ハーマイオニーは才色兼備の魔法使いで、現在は魔法省の魔法大臣。
ロンはその夫で、ユーモア担当ながら芯のある優しい父親です。
ドラコ・マルフォイはハリーのかつてのライバルで、現在は息子スコーピウスを育てるシングルファーザー。
ジニーはハリーの妻であり、冷静で思慮深い母親として登場。
これらの人物関係を簡単に理解しておくことで、「昔の敵と今の親としての関係」や「友情の絆の変化」をより深く楽しむことができます。
③ タイムターナー
物語の大きな鍵を握るのが、時間を遡る魔法道具「タイムターナー」です。
もともとは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』でハーマイオニーが授業を掛け持ちするために使った魔法アイテムで、慎重な取り扱いが必要とされています。
しかし『呪いの子』では、この道具を使って過去を変えようとする試みが物語を混乱させ、大きな“もしも”の世界を生み出してしまいます。
時間をいじることの危険性と、わずかな行動が未来を大きく左右するというテーマを理解しておくと、物語の緊張感と展開の意味がぐっと明確になります。
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まとめ|“観る前に予習しておく”ともっと楽しめる!
『ハリー・ポッターと呪いの子』は、ハリーたちの「その後」を描いた、J.K.ローリング公認の舞台作品です。
物語の中心は、ハリーの次男アルバスとマルフォイ家の息子スコーピウス。2人の友情と、親世代との葛藤、そして“過去”を変えてしまう大きな魔法が描かれます。
初心者でも十分に楽しめる一方で、原作や登場人物の背景を少しでも知っておくと、物語の深さや感動がぐっと増します。
ポイント
- 「これって映画なの?舞台なの?」→ 舞台作品(日本語版は東京で上演中)
- 「ストーリーは難しい?」→ 親子ドラマ+タイムトラベルが軸でわかりやすい
- 「予習は必要?」→ 知っておくと感情移入しやすいが、知らなくてもOK
原作ファンも、初めての人も、それぞれの視点で新たな魔法体験ができる作品です。まずはあらすじや登場人物を軽く予習して、ぜひ劇場で魔法の続きを体感してみてください!

【参考】
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』公式Webサイト(2025年3月6日)
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